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心肺停止、そのときの対処 

小児の場合はまず蘇生法を

 子どもが事故に遭って意識がない。そのような事態が起こったときに、手をこまねいているわけにはいきません。数年前まで、救急隊員が来るまでは救急処置をしてはいけないということになっていましたが、現在では救命救急の考えかたが大きく変わりました。何もしないよりは、たとえ素人であってもやったほうがいいというわけです。
 もちろん専門的な知識が必要な処置もあります。しかし人は心臓停止後約3分で、死亡率が50%も上がってしまいます。仮に救急車を呼んでいたとしても、3分で救急車が到着することはまず考えられません。この数分間の処置が、子どもの命を救うことになるのです。特に8歳未満の小児においては、より早い手当が救命の可能性を引き上げることにつながります。おとながひとりしかいないときは、心肺蘇生(しんぱいそせい)法を1分間行なってから119番へ連絡しましょう。

最初は気道の確保から

 救命の手当といっても、心拍が止まっているかどうかの確認は、ふつうの人にはなかなか難しいものです。呼吸が感じられないなと思ったら、まずは「気道の確保」をしましょう。それから人工呼吸、心臓マッサージということになります。

■人工呼吸
 人工呼吸は呼吸を再開させるためのものですが、酸素を含んだ空気を傷病者の肺に送り込むことで、その肺にたまっている二酸化炭素を出すという意味も含んでいます。いちばん効率的なのはマウスツーマウスの人工呼吸法です。

(1)気道を確保しましょう
 額を片手で押し下げ、その手で相手の鼻をつまみます。もう一方の手の指であごを上げ(乳児なら指1本)、気道を確保しましょう。

(2)息を吹き込みましょう
 通常時の2倍程度の空気を吸ったら、2秒くらいかけ相手の口に吹き込みます。5秒に1回の早さで行ないましょう。

(3)胸の動きを確認しましょう
 息を吹き込みながら、胸が上下に動いているかどうかを確認しましょう。息がしっかり吹き込まれていれば、胸がふくらみます。

(4)2回行なって循環確認をしましょう
 人工呼吸を2回行なったらすぐ、口や鼻から息をしているかどうかを確認します。せき込むか体が少し動いたら、順調に回復しているということです。そのまま人工呼吸を続けましょう。反応がなかった場合、こんどは心臓マッサージを加えましょう。


■心臓マッサージ
 幼児であれば手のひらのつけ根で、乳児であれは2本の指を使います。

(1)圧迫する部分を確認しましょう
左右の乳首を結んだラインと胸骨が交差する点から、指1本分下を押しましょう。

(2)圧迫する回数
 新生児は1分間に120回、乳児・幼児は1分間に100回を目安にしましょう。

(3)圧迫する強さ
 横から見て胸が3分の1程度凹むくらいの強さで圧迫しましょう。

(4)人工呼吸と組み合わせて行ないましょう
自発呼吸が始まったかどうかを見ながら、人工呼吸と併せて行いましょう。

■救急車の呼びかた
 乳幼児の事故では、救命救急や緊急の処置が明らかに必要なけががあります。落ち着いて処置し、手分けをして救急車の手配などをしましょう。

■119番のかけかた
 一般の電話であれば、ふつうに119番をプッシュします。
携帯電話は移動しながらだったり、建物の影などに入ってしまうと通じにくくなるので、きちんと立ち止まってかけるようにしましょう。かけているのが携帯電話からであることを伝え、携帯電話の番号と併せて固定電話の番号も知らせるようにします。救急から折り返し確認の電話がかかる可能性がありますので、通報から最低10分間は電源を切ったり、マナーモードにしたり、電話を手元から離れたりしないようにしましょう。
 原則的に119番へはどの電話からもかけられます。しかし、たくさんの電話会社があるので、契約した会社によってはかかりにくいこともあるようです。契約している電話会社の119番対応を確認しておくと安心でしょう。また何らかの理由で通話ができない場合、ファックスを使って119番へ通報することもできます。その場合もふつうに119番で大丈夫です。

■公衆電話からかける場合
 公衆電話の場合、機種によってかけかたが違います。

<緊急通報用ボタンつき電話>
(1)まず受話器を上げ、119番を押します。
(2)ふつうにカードやコインを入れて119番を押すことも可能です。

<ボタンがないデジタル電話(灰色のもの)>
(1)家庭の一般電話と同様に、受話器を上げて119番を押しましょう。

<ピンク電話>
(1)そのままかけると片側のみの通話となり、こちらからの声は消防に伝わりません。ピンク電話の契約主にカギで切り替えてもらってから119番を押しましょう。

■通報のとき伝えること
 119番につながったら、子どもの年齢とけがの状態、住所、連絡がとれる電話番号を正確に伝えましょう。けがの内容によっては、その場での応急処置を指示されることもあります。

■通報後は救急車の誘導を
 住所などを伝えていても、これといった目印がない住宅街などでは、うまく到着できないこともあります。外に出て目立つところに待ち、救急車を誘導しましょう。

■救急隊員に伝えること
・通報から到着までの子どもの様子
・到着までにした処置の内容
・子どもに持病があるときは、その病名と処方されている薬、かかりつけの医療機関名
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