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嘔吐 

嘔吐とは?

 「吐く」とは、胃の内容物が逆流して外に出ることです。食べたものや胃液が主な内容物ですが、吐き気が強いときには十二指腸液が混ざっている、緑色のものを吐くこともあります。
 また、胃自体が何かの原因で刺激されれば吐きますし、胃よりも下の消化管の通りが悪いときにも吐きます。頭には、吐くことを指令する嘔吐中枢がありますが、ここが何かで刺激されても嘔吐が起きます。

感染症による嘔吐

 子どもの吐く原因で最も多いのは、下痢を伴う病気の場合です。感染性胃腸炎がそれにあたりますが、胃に炎症が起き、その結果吐きます。腸に炎症が及べば、下痢という症状になります。
 この病気には、細菌性とウイルス性があります。ウイルス性の場合には軽ければ「おなかの風邪」として扱われることが多いようです。
 ウイルス性でよく知られているのが「ロタウイルス」です。乳児に多いことから乳幼児嘔吐下痢症、冬に多いことから冬期下痢症、便が白くなるので白色便下痢症とも言われています。下痢と嘔吐が強いときには脱水症になり、入院することもあります。集団生活では感染力が強いので、流行する場合もあります。
 ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、ロタウイルスによるものより症状は軽いようですが、時々集団生活で流行します。
 細菌性の胃腸炎は腹痛があり、熱があることが多いようです。そして「下痢便がねっとりして血液が混じっていること」もあります。
 胃腸炎以外の感染症でも吐くことはあります、頭の嘔吐中枢を刺激するからでしょう。その原因として風邪の始まりや、中耳炎、尿路感染症等があります。熱の出始めもこの中に入ります。

感染症以外の嘔吐

 頭に原因があるときは、直接嘔吐中枢が刺激されて吐きます。脳炎や髄膜炎の場合には、吐くこと以外に熱があったり、頭を痛がります。また、いつもと違った行動をとることもあります。遊んでいて頭を打撲して吐くこともありますので、頭に原因があるのではと思ったときには、速やかに病院を受診してください。
 非情に稀ですが、脳腫瘍があるときの嘔吐は、吐き気がないことがよくあります、突然吐くのです。進行していないときには非常に疑うことが難しく、何となく頭が痛いときがあり、時々吐くことから始まり、様々な原因を除外し、初めて疑うことが多いのです。
 「アセトン血性嘔吐症」という病気があります、昔はよく「自家中毒」と呼ばれた病気ですが、引き金になる要素はいろいろです。 運動会や遠足の後に疲れ、突然吐く症状が出ます。それも頻繁に吐くのです。吐き続けると、如々にぐったりして立てなくなります。このような状態から中毒という病名が付いたのです。 風邪が引き金になったり、嫌なことを経験してなることもあります。詳しい事はわかっていませんが、脂肪代謝がおかしくなり、その代謝産物であるアセトンが体にたまり起こるようです。この病気は繰り返して起こるのが特徴ですから、経験のある子どもは注意しましょう。
 せきが強いとき、喘息発作があるときもよく吐きます。呼吸が速くなり、横隔膜が胃を刺激するために吐くのです。年齢が低い子どもでは、せきで吐くことはよくあることです。

吐いたときの対応方法

 子どもが吐いたときには、まずほかの症状をチェックしましょう。熱があるかどうか?、便の状態はどうか?、おなかが痛いかどうか?、おなかを見て大きくなっているかどうか?、頭が痛いかどうか?、耳が痛いかどうか?などです。
 嘔吐以外の症状がはっきりしている場合には、病院を受診してください。嘔吐以外の症状が軽いか、無い場合には様子を見ましょう。ポイントは繰り返し吐くかどうか?を観察します。繰り返し吐く場合は受診してください。
 吐いた後は、30分ぐらい時間をあけ「お茶」や「イオン飲料水」を少し与えてください。それで吐くかどうか観察します。その後、吐かなければ飲み物を少しずつ増やして与えます。
 子どもは吐くことの意味がよくわかっていません。その結果、泣いたり怖がったりするようです。医療的な処置も大事ですが、精神的ケアも大事です。子どもを安心させ落ち着かせることは、日ごろの子どもとの信頼関係です。信頼しているおとなに声をかけられ優しく抱かれることは、子どもにとって非常に安心できるものです。
 子どもが吐く原因は非常に多くあります。1つ1つ症状をチェックすることも大事ですが、最も大切なのは、実際に子どもと接しているおとなが見て、元気があるかどうか確認し、いつもと違うと気づくことです。
 体で危険を感じたり、子どもの異常に気づく感性を、子どもと付き合う中で作り上げて下さい。そうした感性は、子どもと一緒に動き回り、喜び、感動することから生まれるものです。
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