医師からのメッセージ

医師会は、医師として壁にぶつかったときや、
新しいことをやるとき、必ず力になってくれます
海堂 尊

Aiの普及と医師会

私は、医師として、そして作家として、Ai(死亡時画像診断)の普及活動をしていました。Aiとは、亡くなった方の遺体をCTやMRIで画像診断し、死因を究明する方法です。本来死因究明が必要なのに解剖が実施できないことも多いなか、市民と社会の納得を得るためにも、Aiを多くの事例で行っていく必要があると、私は主張していました。しかし、Aiの普及は一筋縄にはいきませんでした。

国への働きかけがうまく進まず苛立っていた2007年、日本医師会の役員から、作家としての私に話を聞きたいという連絡がありました。その際にAiの重要性について3分ほど話をしたところ、「それは重要ですね、是非やりましょう」と二つ返事で引き受けてくれた。正直、そんなにうまい話があるはずがないと思いましたが、それから間もなく、Aiの検討会が本当に立ち上がったのです。

それから毎年、年に1度の検討会を行い、提言をし続けた結果、2014年からAiを用いて小児死亡例の死因究明をする厚生労働省のモデル事業が始まりました。

守ってくれるのは、医師会

このことで随分お世話になったので、私も医師会に入会しようと思ったのですが、役員の方から「むしろ外部の応援団でいて下さい」と言われ、お言葉に甘えています。けれど今、研修医時代の自分にアドバイスするとしたら、「医師会に入っておけ」と言います。みなさんの、医師の様々な権利を守ってくれ、社会のためになる活動を自発的に推進してくれるような団体は、医師会しか見当たりません。私の主張を具体的に展開してくれたのが医師会だけだったことからも明らかです。医師会は、何か新しいことをしようとしたとき、きっと力になってくれると思います。

海堂 尊 かいどう たける
作家/放射線医学総合研究所 Ai情報研究推進室室長

1988年、千葉大学医学部卒業。外科医、病理医を経て、現在は放射線医学総合研究所重粒子医科学センターAi情報研究推進室室長。2005年、『チーム・バチスタの栄光』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、翌年、作家デビュー。以降、作家としても活躍する。他の著書に『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ケルベロスの肖像』などがある。


日本全体の医療も、地域の最前線の医療も
医師会が支えてくれています
林 伸宇

医師の代表としての医師会

私が初めて医師会と関わったのは、大学院生だった2012年、日本医師会ジュニアドクターズネットワーク(JMA-JDN)の活動に参加することになったときでした。そこで私は、世界医師会に若手医師の組織であるジュニアドクターズネットワーク(JDN)ができたこと、その流れの中で日本医師会もJMA-JDNを起ち上げたことを知りました。

JMA-JDNでは、国際会議に出席したり、定款や規約を作ったりといった活動を行っています。最近は、より多くの若手医師にネットワークに参加してもらえるよう、勉強会の開催などに力を入れています。

JMA-JDNの活動を始めた頃、私は医師会員ではなく、医師会についてほとんど何も知りませんでした。しかし活動に参加するうち、医師会が果たしている役割について、少しずつ知るようになりました。例えば、世界医師会の会議で日本代表としてディスカッションするのは医師会です。国内・海外における災害や感染症流行の際、医師の派遣・受け入れのマネジメントは、医師会が国と共に行っています。医師会は、医師という専門職の代表として、日本の医療を支えているのです。

地域医療の最前線を支える

2015年、私は練馬区の在宅医療のクリニックの院長として、医師会に入会しました。開業医として医師会に入ってみると、医師会のもう一つの側面、すなわち地域の最前線で働く医師たちを手厚く支える姿が見えてきました。

例えば、医師会に入ることで、地域の医療を支えている医師と直接話ができる機会が増えました。勉強会や交流会を通じて、地域の医療資源の実態を把握できるようになりましたし、他職種からも信頼を得やすくなったと感じます。

在宅医療を行っていくうえでは、医師会に入ることは不可欠であると実感しています。これからは自分自身も医師会活動を通じて、地域の医療により貢献していけたらと考えています。

林 伸宇 はやし しんう
医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック平和台 院長
日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医

2007年、千葉大学医学部卒業。2013年、東京大学大学院公共健康医学専攻修了。大森赤十字病院、医療法人社団鉄祐会などでの勤務を経て、2015年7月に同法人祐ホームクリニック平和台の院長に就任。2012年よりJMA-JDNの活動に参加。