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非常勤など、多様な働き方を支える

もし、大学院進学や育児・介護との両立などによって常勤ポストを離れることになったら、
勤務医として働いていた頃は当たり前のように受けられていたサポートが受けられなくなる場合があります。医師会は、そうした時にも医師にとって役に立つ仕組みを整えています。

situation
常勤ポストを離れ、組織のサポートが受けられなくなったら

社会保険の加入は国民の義務

みなさんは、自分が健康保険と公的年金に加入する義務があることをご存知ですか? 学生時代は保護者が手続きをする場合も多いため、知らない人も少なくないかもしれません。

臨床研修医になると、所属先の健康保険や厚生年金に加入することになりますが、手続きは職場の事務職員によって行われ、保険料は給与から天引きされる形になるので、あまり意識されません。医師に限らず組織で働く人の多くが、健康保険や年金への加入手続きについて考えたこともないでしょう。

しかし医師はキャリアのなかで、大学院進学や育児・介護との両立などのために、常勤として組織に所属しない期間が生じることがあります。その時期は、健康保険や公的年金に自ら加入しなければなりません。この手続きのためには平日に役所に行く必要があるといった事情もあり、知らず知らずのうちに年金未加入期間ができてしまった医師も少なくないといいます。

医師会は、医師年金を運営し、医師個人の生活を支援しています。これらは非常勤や大学院生の医師でも利用できます。また併せて日本医師会医師賠償責任保険(医賠責)に加入することで、非常勤で勤務する医療機関でも補償を受けることができます。

merit1 医師にメリットが大きい医師国民健康保険
医師国民健康保険組合

健康保険には様々な種類がある

日本国内に居住している全ての国民は何らかの健康保険に加入することが義務づけられています。月々決められた保険料を納めることで、3割負担で診療を受けたり(後期高齢者を除く)、保健サービスを受けたりすることができます。

国民はそれぞれの立場に応じて下記のどれかの保険に入ります。1つ目は、企業など組織で働く人のための保険です。大企業の従業員なら「健保組合」、公務員なら「共済組合」、中小企業の従業員なら「全国健康保険協会(協会けんぽ)」にそれぞれ加入します。これらは併せて「被用者保険」と呼ばれます。2つ目は、自営業の人や働いていない人が入る「国民健康保険」です。これらは市町村で運営されているので、「市町村国保」とも呼ばれます。保険証を見れば、どの保険に入っているかわかります。

医師による医師のための健康保険がある

勤務医は「被用者保険」に加入する場合が多いでしょう。そして留学や研究などで常勤を離れた場合、「市町村国保」に加入する流れが一般的かもしれません。ただここで注意したいのは、市町村国保の保険料は、前年度年収によって決められるということです。比較的年収の高い医師が市町村国保に加入すると、かなりの額の保険料を納めなければならなくなります。

そこでお勧めしたいのが、医師国民健康保険(医師国保)への加入です。医師国保は、医師とその家族・従業員が加入する自助的な保険です。各都道府県に組合があり、医師会員であれば加入できます(一部を除く)。医師が自ら運営し、保険料を決定したり、各種検診などの保健サービスを運営しているので、医師にメリットの大きい健康保険なのです。

merit2 産業医の認定を受ければ勤務先の選択肢を増やせる
日本医師会認定産業医制度

産業医として働くという選択肢

みなさんは、産業医として仕事をするという選択肢を考えたことがありますか?

産業医とは、労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事を行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師です。労働安全衛生法によって、常時50人以上の労働者が従事する事業場には産業医を選任することが義務づけられています。また、さらに労働者の多い事業場や有害業務を行う事業場では、専属の産業医を選任することも義務づけられています。雇用主によって求められる勤務形態は様々ですが、病院等での診療業務とは違った働き方ができるといえるでしょう。

日本医師会で認定産業医の称号を得られる

産業医として働くためには、厚生労働大臣が定める研修を修了するといった要件を満たす必要があります。「日本医師会認定産業医制度」も、その要件のひとつです。基礎研修の50単位を修了することで、日本医師会認定産業医の称号を得ることができ、産業医として働くことができるようになります。

こうした資格を取得しておくことで勤務先の選択肢が増えれば、常勤ポストを離れても安定して働ける可能性が高まるかもしれません。