TOPIC 5 医事紛争から医師を守る

医療事故が起こってしまった時、患者さんが治療の結果に納得しなかった時など、
もし訴訟を起こされてしまったら、医師には大きな負担がかかります。
医師会には、そうした「もしもの時」のためのサポート体制があります。

merit1 専門の機関が調査し、手続きを支援!
日本医師会医師賠償責任保険

専門家が調査・審査

医師賠償責任保険(以下、医賠責)とは、紛争解決のサポートを受けられる保険です。勤務医個人に対する訴訟も増えているいま、勤務医も加入必須の保険です。日本医師会医賠責には大きなメリットが2つあります。

まず、日本医師会医賠責には、医師、医療に詳しい弁護士、保険者などで構成される、中立的な調査・審査機関があることです。事件を一つひとつ調査し、賠償責任の有無や額を判断します。専門家による調査・審査が行われることは、医師の安心につながります。

訴訟や示談などを支援

また、医師ができるだけ矢面に立つことなく紛争を解決できるよう、訴訟・示談などの交渉を支援する仕組みが整っています。訴訟が起こった場合、民間の医賠責では自ら弁護士の手配を行わなければなりませんが、医師会は医療を専門とする弁護士の手配から費用負担まで、当事者に代わって行います。和解や示談の場合にかかった費用も補償されます。

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勤務先を変更した場合も補償の範囲内
日本医師会医師賠償責任保険

勤務先にかかわらず補償

日本医師会医賠責は医師個人を対象とした保険なので、日本国内であれば勤務先を問わず、事故が起こった際には補償されます。勤務先の病院の意向や加入している保険の種類にかかわらず、1事故につき1億円まで補償されるのです。医療事故の被害者には十分な補償がなされるとともに、医師自身が安心して診療できるようにするための仕組みが整っています。

医師会員は誰でも加入可能

日本医師会医賠責は、医師会員になれば被保険者になれる仕組みとなっており、年間の保険料は会費に含まれます(ただし、研修医は会費を無料化しているため、保険料のみの負担となります)。保険料の相当額は年間で3万3000円(研修医)~6万6000円(開業医)と、民間保険に比べると金額も安くなっています。

ここまで述べた他にも、日本医師会医賠責には民間の保険に比べてメリットがあります(表)。ぜひ比較してみて下さい。

column 医療事故調査制度

不当な責任追及を避ける

もし医療事故の原因が病院のシステムの不備によるものであったとしたら、その責任を医師個人に負わされることがあってはなりません。しかし、これまで医師個人が刑事訴追を受け、数年に及ぶ裁判の後に、無罪が確定したケースもありました。

そこで日本医師会は、個人への責任追及を目的とせず、病院が自律的に医療事故の原因調査・再発防止に努めるための制度を創設するべく、精力的に取り組んできました。その制度が、平成27年10月から施行された医療事故調査制度です。医師会は、こうした制度の創設にも大きな役割を果たしています。

医療の枠内で解決を図る

具体的には、診療所や小規模病院を含むすべての医療機関で、予期しない死亡事例が発生した場合、第三者機関に報告するとともに、院内で原因を調査することが義務づけられました。更なる分析が必要な場合は、第三者機関が原因究明を行い、再発防止のための提言を行います。

死亡事例を、第三者機関へ報告することで、医療関連死を出来る限り医療の枠組みの中できちんと調査することを担保するとともに、医療提供者個人への不当な責任追及を防ごうとするのがこの制度なのです。