これから医師になるひとへ

日本医師会会長 横倉 義武

 新年度のスタートにあたり、医師をめざす医学生の皆さんに『ドクタラーゼ』の創刊号をお届けします。

 未曾有の東日本大震災から1年余経った今、被災地の一刻も早い復興と福島県原子力災害の収束という重大かつ喫緊の課題を前に、われわれ日本の医師は、世界に冠たる国民皆保険制度のもと、だれもがいつでもどこでも受けられる医療を、以前にも増して安全・安心なものに再生していくという大きな目標を共有しています。日本医師会は、わが国における医師の唯一の職能団体として、発災当初より、日本医師会災害医療チーム(JMAT)を派遣し、現在も中長期医療支援としてJMATⅡを派遣していますが、すべての医師が一丸となって被災地の医療に懸命に取り組むその姿に、医師としての誇りと気概を感じているところです。

 さて、日進月歩の医学・医療により医学生の学習量は年々増大し、皆さんが医学に関するカリキュラムや国家試験に向けた学習に偏った学生生活を送りがちになっているとの声が聞こえてきます。そのため、日本医師会では、これからの医療の担い手となる皆さんに必要な、広い視野や教養を身につけることができる機会を持ってもらいたいと考え、この情報誌を創刊することとしました。本情報誌を通じて、わが国の医療制度やその問題点、あるいは、医療政策の動向などについても関心を持ち、昨今の医療を巡る様々な課題を積極的に考えてもらうとともに、医学・医療以外の分野についても幅広い視野を養ってもらえれば幸いです。

 また、本情報誌が、医学生と現役医師、医学生と他学部の学生、あるいは医学生どうしの繋がりを構築するきっかけになるように、そして、皆さんが直面する進路の決定等についても参考になるような誌面を提供できるように、各方面からのご示唆、皆さんからのご意見に耳を傾けながら、様々な企画を練っていきたいと考えています。

 本情報誌の創刊にあたり、31大学120名の医学生を対象に日本医師会に対するイメージを聞くアンケートを行いました。その結果は、総じて好ましくない、必ずしも当を得ていないと思われるものでした。しかし、一方で、約7割の医学生が「日本医師会に期待する」と回答しました。日本医師会は、その期待に応えるべくさらなる取り組みを推進していきますが、その取り組みの状況については、本情報誌の中でも適宜報告させてもらいたいと思います。

 皆さんの若い力が日本の将来の医療を支えていくことになります。皆さんの無限の可能性に大きな期待を寄せながら、創刊のメッセージとさせていただきます。

「医師になる」ということ。 読者アンケートはこちら