ジェネラル志向 vs. 専門志向

専門を決めると、他分野の診療に関わる機会は減ります。研修医のうちに広範な経験を積むか、専門を早く極めるか…。悩ましい選択です。

やはりいろいろな診療科を回るべきでしょうか?

 プライマリケア医を目指すなど、ジェネラルな志向性の高い先輩は臨床研修でも色々な科を回るようです。例えば、「皮膚科など内科以外を今のうちに勉強しておこうと思った」という先輩がいました。一方、将来専門にする分野を決めている場合、関連する科を集中的に回るか、いろいろな科を回るべきかについては意見が分かれていました。「心臓外科志望だったが2年目には循環器内科を含む内科や麻酔科などを回った」と専門に関係する科を回ることが多いようですが、「糖尿病内科を回った時よりも循環器内科で糖尿病の患者さんを糖尿病内科にコンサルトした時の方が勉強になった」と、多様な視点からその科を見ることによる発見もあるようです。また関係各科の雰囲気を知ることは円滑なチーム医療にも役立つかもしれません。

専門の科を集中して回るメリットは何ですか?

 専門分野の診療技術を少しでも早く極めたいという理由で、将来進む分野の研修に集中したいと考える人も多いでしょう。特に皮膚科や眼科といった特殊な分野では、他科との関連性が小さいと考えて、最初から専門を重点的に選択する先輩が多いようです。しかし例えば精神科志望の場合、向精神病薬により呼吸が止まることがあるので、急変に対応できるよう救急をセットで回る方がよいとのこと。大学病院で集中的に回ると、早くから医局の先輩と仲良くなることや、「3年目からすぐに外勤ができる」という点を挙げている先輩もいました。志望分野やその後の働き方によっても、専門に特化すべきか、広範に見ておくべきかは異なるようです。

① 教育重視 vs. 実践重視

② 大学病院 vs. 市中病院



まとめ

 臨床研修を終えた研修医の先輩たちも、いろいろと悩みながら臨床研修病院を選び、試行錯誤しながら研修を受けてきました。しかし最終的には、「どの病院で研修を受けても、研修の終わり頃にはその人がなるべき姿になっていく気がする」「研修医には任せてくれないと評判の病院でも、やる人は様々なことをやれると思うし、逆に自分でやらざるを得ない環境に置かれても、やる気がなければついていけない」と、研修医自身の取り組み姿勢に帰結するという意見が多く聞かれました。「良い臨床研修を受けたい」と受け身の姿勢で病院選びをしてしまいがちですが、評判のいい病院に行けば無条件に「良い」研修が受けられる訳ではなく、結局、自分自身が「良い臨床研修にしていく」という意識が必要なのです。

 また、医師の長いキャリアの中で、臨床研修はわずか2年です。目先の研修病院選びに右往左往するよりは、貴重な今の時間をもっと長い視点に立って、将来を考えることに使うのも大切ではないでしょうか。例えばiPS細胞で有名な山中伸弥先生が、若い頃は整形外科医として働いていたように、後に名医と呼ばれたり大きな研究業績を挙げた先生も、最初の頃はそんな将来を描いていなかったかもしれません。いま目の前に与えられた環境でベストを尽くし、自分の可能性を切り拓いていこう…そんな思いをもって、研修病院を選んでもよいのではないでしょうか。

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