医療者のための情報リテラシー

情報化社会のシステムを知り、上手に活用するために

情報化社会において、「情報」はますます価値を持ちつつあります。身の回りにはどんな情報があり、それらはどういった価値をもたらす可能性があるのかを考えてみましょう。
情報が価値になる

 みなさんは、普段どのくらいネットを使っていますか?私はフェイスブックやツイッターを一日に何度もチェックしてしまいますし、方向音痴なのでしょっちゅうグーグルマップのお世話になっています。ネットのない生活はちょっと想像できない、というくらいです。

 そういう人、多いのではないでしょうか? あまり使わないという人でも、ひとつくらいSNSに入っていたり、わからないことがあるとグーグル検索をしたりするのではないかと思います。

情報と便利さ

 ネット上で私たちが得ているのは「情報」です。様々な情報がネット上には溢れていて、私たちはそれらを簡単に得ることができる。とても便利ですよね。

 その「便利さ」のために、私たちの情報を提供しなければならないこともあります。例えば、メールやSNSのアカウントをつくるときや、ネットショッピングのときなどに、名前やメールアドレス、職業などを登録しますよね。

 そういう情報の場合には、大半の人が慎重です。でも、私たちが提供している情報は、実は他にもたくさんあります。

 SNSに投稿した文章や位置情報、グーグルなどで使った検索キーワード、メールの内容などからは、みなさんがどんな生活をし、どんな好みをもっているかといったことがよくわかります。私たちは公開したつもりがなくても、SNSやグーグル側はそういった情報を得て、分析して、みなさん個人に合った広告を出したり、検索結果を出したりしているのです。

情報の価値

 私たちの生きる「情報化社会」では、情報は大きな価値です。つまり、私たちは「自分に関する情報」という価値あるものを提供し、それに対して「便利さ」という利益を受け取っているわけです。

 このような、「便利さ」の裏にある情報化社会のシステムを知っておくことは大切です。特に、これから医師になろうとしているみなさんは、「自分の情報」だけでなく「患者さんの情報」も扱うようになるからです。

情報と医療

 医師に守秘義務があることはもちろんです。でも、患者さんの情報をうまく使うことができれば、医療は進歩し、さらに「便利」な社会になるでしょう。

 例えば、最近では電子カルテのような情報技術が進んでいます。もし、大規模に電子カルテの情報を共有することになったら?

 電子カルテには手書きにはない優れた検索機能があります。そのため、埋れていた症例に気づいたり、今までにない着眼点から新しい治療法を発見したりする可能性があります。すごい利益ですね。

 でも逆に、患者さんの個人情報がいっぺんに漏洩したり、悪用されたりするかもしれません。そのようなことが起こってしまった場合、刑事罰が課せられることになります。

 これから医師になろうとしているみなさんは、患者さんの情報という極めて機微性の高い情報を扱うということをしっかりと理解しておく必要があります。

 情報を提供することの利益とリスク。これらのバランスをどうとるか……。これからの情報化社会で医療に携わるみなさんにとって、とても大きな問題です。

 情報についてよく知り、意識をもって接して下さい。

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