OPINION:総合診療(科)について思うこと

大阪市立総合医療センター医務監 今西政仁

 医療がめざましく進歩し高度に専門化している一方で,総合診療(科)の必要性・重要性が盛んに論じられ,それを担う医師の育成や体制づくりが行われている。

 しかし,「総合診療」は特別なものではなく,医師たる者,いわゆる総合診療の能力と姿勢は本来持っているはずである。その上で,得意とする専門分野を持つのが理想,いやむしろ当たり前の姿である。とは言っても,得意分野が高度に専門化すればするほど,それに深く専念したくなるのは自然である。それゆえ仕事の分担とも言うべき視点から総合診療(科)を担う者が必要になるのだと考えたい。

 その総合診療(科)の役割や体制については,医療機関の目的や規模・立地する場所などで異なるであろうし,既に多くの記事や学会などで発表され,討論も行われている。紹介による高度専門医療を目指し救急医療をしないところは,“科”としての総合診療を必要としないかも知れない。

 しかし,社会の高齢化とともに患者一人における疾患や問題点が複数多岐にわたり,それぞれが重症化し長期化するケースが多い。このような患者を誰がどのように診療するのか,問題はこれだけではないが,解決するための一つの方策として総合診療科をセットしただけでは,うまくいかず長続きもしない。

 前述したように総合診療科は病院や施設によって役割や体制が異なるであろうが,まず,(1)医師全員が総合診療のマインドを持つ(2)総合医も専門医もお互いが必要として尊敬し合える(3)患者の視点から診療に当たる─ことが,基本でなければならない。そして,規模の異なる病院・施設間での連携と役割分担がスムーズに機能することが根本と考える。これら当然のことは,「言うは易く行うは難し」。しかし,実現するにはどうすれば良いか試行しながらコツコツ歩んでいるところである。

日医ニュース 第1213号(平成24年3月20日)「勤務医のひろば」より


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