医学生 × 表現者 同世代のリアリティー

好きなことを追いかける 編-(前編)

医学部にいると、なかなか同世代の他分野の人たちとの交流が持てないと言われます。そこでこのコーナーでは、医学生が別の世界で生きる同世代の「リアリティー」を探ります。今回は「好きなことを追いかける」をテーマに、役者・ギタリスト・カメラマン(社A・B・C)と、医学生3名(医D・E・F)の6名で座談会を行いました。

今回のテーマは「好きなことを追いかける」

医師とは180°違う世界に生きているように思える表現者たち。好きなことを仕事にするためにはどんな葛藤があり、どんな努力をしているのでしょうか。

目の前のお客さんの反応に合わせる

医D:「表現者」と聞くと、華やかな世界での仕事だというイメージがありますが、みなさんはどんな仕事をされているんですか?

社A:僕は劇団に所属して役者をやっています。コメディを得意としていて、舞台に出たり、テレビドラマに出ることもあります。

医E:役者さんって、普段どんな生活をしてるんですか?

社A:舞台稽古を行うかたわら、生活のためにバイトもしています。稽古は深夜に及ぶことも多いため、生活リズムは不規則です。また稽古といっても台本を受け取るのが公演の前日ということも多いので、一人で役作りをする時間が長いです。

医F:えっ!? 台本なしでどう役作りをするんですか?

社A:フワッとした役のイメージは事前に伝えられるので、昔の台本を使ったりしながら、そのイメージをどれだけ広げて自分のものにできるかが勝負です。

医D:医師も、手術台の上では想定外のことがたくさん起こりますが、手術中に勉強するわけにはいきません。本番までにどれだけ努力できるかで成否が決まる点は同じですね。

社A:演劇は生ものですから、公演期間にお客さんの反応を見ながらどう演じ方を変えるかが腕の見せどころです。本番中にお客さんの反応を見ながら、どうやったら笑いを取れるのかを常に考えています。

社B:僕はギタリストです。イベントで演奏することも多いですし、講師としてギターレッスンを行うこともあります。僕の仕事でも、お客さんの反応を見ることは大事ですね。イベントの時は、お客さんの反応に合わせてアドリブを入れていきます。自分とお客さんの感情が演奏に乗っかった瞬間に、カタルシスが生まれるんです。レッスンをする時も、自分勝手に教えるのではなく、生徒さんの求めている音楽が何なのかを探ることが大切ですね。

自分と相手のこだわりをすり合わせる

社C:僕はフリーのカメラマンです。ファッション誌やCDジャケットの撮影のほか、実はこのドクタラーゼの撮影を行うこともあります。

医E:役者とギタリストの方はステージ上でお客さんの反応を見ることが大事だと言われましたが、カメラマンも撮る相手の反応を見るんですか?

社C:人物撮影の時には撮る相手はもちろん、編集やメイクなど現場の人みんなの反応を見ますね。ただ「ブツ撮り」と呼ばれる静物撮影の場合、向き合う対象はモノなんです。例えば缶ビールの広告写真を撮る時には、一番格好のいい雫が落ちるまで不眠不休で2日間待ち続けたりもします。

医F:マジですか…。「一番格好のいい雫」がどれかは、カメラマンが決めるのですか?

社C:僕たちは写真のプロですから、もちろん「これが格好いい!」と意見します。けれど現場には商品のプロであるクライアントもいて、「うちの商品はここが重要なんだ!」という想いがあります。それらをすり合わせながら、どれが「一番格好のいい雫」なのかという答えを探すのが、僕たちに求められている役割ですね。みんなの想いをシンクロさせて一つの作品を作っていくプロセスって、とても楽しいんですよ。

同世代


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