大学紹介

鳥取大学

【教育】コミュニケーション教育を通じて医療人としての人間力を育む

鳥取大学 医学部 副学部長 胸部外科学分野教授 中村 廣繁

亀井先生鳥取大学では「知と実践の融合」という教育・研究の全般にわたる理念があります。そしてこの理念をもとに「人間力はどうだ!」と学生を含むすべての本学関係者に問いかけます。「人間力」とは、本学独自に「知力」「実践力」「気力」「体力」及び「コミュニケーション力」の5つの構成要素から成り立つ総合的かつ人格的能力と定義しており、「知と実践の融合」という理念を具現化して「教養豊かな高度専門医療人」の養成を目指しています。

「知と実践」をつなぐ架け橋として、特にコミュニケーションスキルの向上に重点を置いた教育が本学の最大の特徴です。ヒューマンコミュニケーション教育では保育園や高齢者施設の実習を通じて思いやりの心・他者への関心・慈しみ・共感・受容・死生観を学び、コミュニケーション英語教育ではグローバル化に恥じない語学力を磨きます。全国に先駆けて取り入れた手話教育では障害者の心に寄り添う力を、メディカルコミュニケーション教育では医療人としてリーダーとなる資質を涵養します。また、リサーチマインドを有し、創造力溢れる医療人を養成するために研究室配属や独創的な「発明楽(はつめいがく)」というイノベーション教育も取り入れています。学外施設と連携し、グローバルスタンダードを視野に入れた診療参加型臨床実習の充実は、閉塞感のあった医学教育に風穴を開けようとしています。

折しも医学教育改革の真っただ中ですが、モデル・コア・カリキュラムに沿った学習はもとより、学生が自主的に選択できる最先端医療や、全国的に見ても少子高齢化が進む鳥取県の地域特性を活かした教育科目など、自らが課題を発見し、探究する問題解決能力を養うための学生主体のカリキュラムで、医療人としての豊かな「人間力」を育んでいきます。

【研究】医学研究・教育に果たす鳥取大学医学部の使命

鳥取大学 医学部 副学部長 病態生化学分野教授 岡田 太

鳥取大学大学院医学系研究科は、医学・生命科学・機能再生医科学・保健学・臨床心理学の5専攻を有しております。各学問分野は、いずれも医学研究を共通基盤とした先進医科学研究・トランスレーショナル研究・統合保健学研究・臨床心理学研究に特化しています。

本研究科では極めて独創的な研究が数多く行われております。中でも際立つものに「染色体工学研究」が挙げられます。最先端バイオテクノロジーを駆使して、染色体の基本構造を残し、そのほかの全遺伝子を取り除いた人工染色体を創出しました。この人工染色体技術により、これまでの技術では困難であった巨大な複数の遺伝子を一括して細胞に導入することが可能になり、ダウン症モデル動物やヒト薬物代謝酵素を持つマウスを世界に先駆けて作出しました。また、筋ジストロフィー患者のiPS細胞での完全遺伝子修復にも世界で初めて成功し、医学研究に新たな発見を重ね続けています。

医学教育においても、医学部・大学院医学系研究科ならびに医学部附属病院は一体となり、地域のみならず国際的に活躍できる臨床医・医療人・医学研究者の育成を主眼に、医学界ならびに産業界との多様な橋渡しができる人材養成も目指しています。

最近では、「革新的未来医療創造人材の養成」を文部科学省の未来医療研究人材養成拠点形成事業として掲げました。大学院医学系研究科に当該コースを新設し、低侵襲ロボット手術等の臨床研究と、鳥取大学考案の発想を基軸とする発明楽(はつめいがく)と名付けた教育プログラムを新規に導入しました。未来の医学・医療を志す高い目的意識と理想に燃える学生諸君のために、これからも鳥取大学医学部でなければできない先端の医学研究と、高度な医療技術の実践教育を支えるキャンパス環境を整えて参ります。

【学生生活】コミュニケーションを学び、地域とつながる

鳥取大学 医学部 4年 吉田 つばさ

鳥取大学の特徴はコミュニケーションについての授業が充実していることです。医療手話の授業では、聴覚障害をもつ患者さんに受付・問診・診察を行えるよう、基本的な手話を学びます。また1~2年次のヒューマンコミュニケーションという授業では、保育園や高齢者施設で乳幼児や高齢者と交流します。ただ漫然と話しているだけでは相手との信頼関係は築けません。相手の表情や言動からいま何を考えているのかを汲み取り、打ち解けられる雰囲気をつくることが大切なのだと学びました。

社会医学チュートリアルでは、複数のテーマから興味があるものを選びます。私の班は、透析患者の多い大山町で糖尿病や高血圧についての健康教室を開いています。住民の方のお話を伺っていると、「血圧が高いけど、車を運転できないから街の病院へ行けない。」とおっしゃる方がいるなど、地域の実情を知ることができました。

私は創立約60年になる地域医療研究部の部長をしています。県内の自治体や鳥取大OB・OGの先生と協力して、地域ごとに3年間にわたって健康教室や座談会を行いながら、住民と健康について一緒に考えて、地域活性化にもつなげようという趣旨で活動を行っています。夏休みには部員が1週間泊まり込みのフィールドワークに行って、健康に関するアンケートを実施し、その結果を分析して最終日にフィードバックまで行います。地域のニーズを反映する鳥取大学らしい部活だと思います。鳥取大学にはボランティア系の部活が多く、やりたいと思えば学生発で一気に立ち上げられる雰囲気があります。医療系が集中しているキャンパスなので、コメディカルを志す学生と一緒に部活動ができることも魅力的ですね。

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