10年目のカルテ

死因究明を生きている人に還元するために

【法医学】本村 あゆみ医師
(千葉大学附属法医学教育研究センター)-(前編)

「死」を突き詰めて考えたい

本村先生

――――先生はどうして法医学に関心を持たれたのですか?

本村(以下、本):高校生の頃から、人間の体というものに漠然と興味がありました。自分に最も身近なことだし、生物の授業で、自分の体の中でどんなことが起こっているのか知るのが面白くて。医学部に進んだのも、人の体についてもっと深く知りたいなと思ったからでした。

医学部の法医学の実習で、焼死体を解剖する機会がありました。こんなにも見た目は変わり果てているのに、体の中は、当たり前ですが『人間』なんですよね。そのときに「人はいつ死ぬんだろう」と疑問に思うようになりました。ご遺体といってもその姿は様々で、でも、「亡くなっている」ということは共通している。人が死ぬというのはどういうことなのか突き詰めて考えてみたいと思ったのが、法医学に関心を持ったきっかけでした。

救急から法医学へ

――すぐに法医学の道は選ばず、救急科に進まれたんですね。

:そうですね。生きている人のことを知らずには、亡くなった人のことはわからないのではないかと思って、まずは母校の佐賀医科大学(現・佐賀大学)の救急部に入局しました。

救急の世界も入ってみると奥が深くて、専門医も取得したのですが、いずれ法医学の分野に移りたいという思いはあったので、いつどのように転向するのか、悩んでいました。

そんななか、卒後7年目、夫が佐賀から千葉に異動になる機会がありました。千葉大学の法医学教室が盛んに活動していることは耳にしていたので、ここのトップの岩瀬先生にご相談したところ、大学院生として所属させてもらえることになりました。

 

(クリックで拡大) 1week
「医師になる」ということ。 読者アンケートはこちら