FACE to FACE

interviewee 中安 杏奈(姉)× interviewer 中安 優奈(妹)

各方面で活躍する医学生の素顔を、同じ医学生のインタビュアーが描き出します。

mine

優奈(以下、優):杏ちゃんは山本雄士ゼミ* のゼミ長をやったり、精力的に活動しているように見えるけど、学生生活5年間を振り返ってどう思う?

杏奈(以下、杏):色々なことに手を出して遠回りしたけど、今までやってきたことに意味はあったのかなと思えるようにはなった。東大は2年までは教養学部で、本格的に医学の勉強が始まるのが遅いんだよね。その分低学年のうちに他学部の授業を受けたり、国際系のゼミに参加したり、医学部以外の友達を作ったりしたな。ただ、他大に進んだ友達が1年生から医学を勉強しているのを見て、自分も医療について考えたいと思うようになって。そんなとき先輩に勧められたのが山本ゼミで、医療マネジメントについて学ぶようになったんだよね。そんな過程の中で恵まれたご縁には本当に感謝していて、一見全く別のことでも、今となれば考え方や人が繋がってきたと思う。

:色々と手を出していると、どれも中途半端になるんじゃないかって不安にならなかった?

:周りを見ていて、自分は何に対しても100%の力を注げてないんじゃないかって悩んだこともあったよ。だけど最近は、それでもいいやって思うようになった。広く浅く様々なことを経験するのも立派な個性だから、100%を目指さずに、興味を持ったことを気軽に始めてみてもいいんじゃないかな。

:どうしてそんなに自信を持って行動できるの?

:行く先々で出会った人生の先輩が、「医師になるあなたが、学生のうちに色々なことを経験しているのには価値がある」って言ってくれたからだと思う。あとは、「きっと今の経験と出会いは私を成長させてくれるはず」って、無理やり自分を納得させることかな。半分は思い込みだと思う(笑)。

:後悔していることはない?

:4年生のCBTのときには、思っていたより勉強していなかったって気付いて、地道にしておけばよかったって思ったよ。

でも、勉強をがんばろうと思えるようになったのは、好奇心の赴くままに色々なことに首を突っ込んだから。まずは一人前の医師になりたい、と腹をくくれたの。だから総合的に言えば、後悔はしていないかな。

:自分よりすごい人にもたくさん出会ったと思うけど、落ち込むことはなかった?

:わりと常に落ち込んでるし(笑)、打ちのめされたこともあったよ。山本先生の師匠、マイケル・ポーター先生のセミナーを受けにハーバードビジネススクールに留学したときは、周りの受講生は社会経験を積んだ人たちばかりで、無力な自分には何ができるんだろうって落ち込んだ。でも、そういうときこそ自分の短所や未熟なところを痛感するから、良い経験だと思う。多分負けず嫌いなんだね(笑)。

居心地がいいところにいるのは楽だけど、裸の王様みたいにはなりたくないなと思っていて。私は自分にとって新鮮な環境に身を置いていた方が楽しいし、成長できる気がするの。自分よりすごい人がいる場に行くのもその一つだし、自分とは違う価値観の世界に飛び込むこともそう。最近色々な国で臨床実習をする機会に恵まれたけど、海外に行くたび、日本にいると当たり前のことが、全然常識じゃなかったって気付くんだよね。知らなかった世界や価値観に出会えるのは刺激的だと思う。だから働き始めてからも、自分の置かれた環境を当たり前だと思わず、常に外の世界に対してオープンでありたいって考えてるよ。

F2F

*山本雄士ゼミ…山本雄士先生が主催する、これからのヘルスケア界をリードしていきたい人のための、医療制度やマネジメントについての勉強会。大学の枠を超え、多数の医大生、また社会人が参加している。

※医学生の学年は取材当時のものです。

中安 杏奈(東京大学5年)
1993年山口県生まれ。小中学校時代をアメリカで過ごす。山本雄士ゼミ2014年度ゼミ長。在学中スウェーデンのイエテボリ大学、アメリカのペンシルバニア大学、ハーバード・ビジネス・スクールに留学。国際的・分野横断的な視野を持ちつつ、日本の医療を良くしていける医師になりたいと思っている。

中安 優奈(横浜市立大学2年)
何でも話せる親友であり、また尊敬する先輩でもある姉とは、普段から様々な話をしますが、この取材を通して姉の新たな一面を知ることができました。姉の背中を追いかけるだけではなく、今後は多くのことに挑戦し、自分の道を模索していきたいと強く感じました。

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