患者本位の医療を目指して

 

 

石田さんも、手術についても考えられるようになったみたいですね。

診療ガイドラインに沿って説明することで、患者さんと医師が同じ方向を向いて話し合えるようになったんですね。

それが伝われば私は嬉しいです。診療ガイドラインは、患者さんと医師が、標準的な治療法をシェアできるようにするものなのです。そしてそのことによって、患者さんと私たちの信頼関係を築いてくれるんですよ。

信頼関係、ですか?

そうです。インターネットが普及した現代、医師の仕事は昔に比べて大変になっていると思います。様々な医療情報があふれるなか、石田さんのように、目の前の経験の浅い医師を信頼できないという患者さんも少なくないでしょう。患者さんたちは、医師とのやりとりの中で、「この先生は信頼できるか」を判断しているのだと思います。

そうですね。特に若いうちは、最初から信頼してもらうのは、ちょっと難しいかもしれません。

そうなんです。だからこそ、診療ガイドラインを活用してコミュニケーションを積み重ねる必要があるんです。患者・医師間の信頼関係がまだ未熟であっても、「ガイドラインのことなら信頼できる」と双方が思えていれば、それを基盤としてコミュニケーションを取ることができます。そしてコミュニケーションが深まっていけば、信頼関係を築いていくことができますよね。

なるほど。診療ガイドラインは、患者さんと医師が共通のゴールに向かう道筋を話し合うための、地図のようなものに思えてきました。

地図として使えるかどうかは、皆さん次第です。ガイドラインを見せて、「この治療法が推奨されています」と問答無用で治療方針を決めるのでは、信頼関係は築けません。ガイドラインを使いながら、患者さんと一緒に考え、決めていくことが大切なんだということを、忘れないでほしいと思います。

 

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