大学紹介

札幌医科大学

【教育】札幌医科大学の教育について

札幌医科大学
医学部長 堀尾 嘉幸

先生

北海道により1950年に設立された札幌医科大学は、「進取の精神と自由闊達な気風」「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を建学の精神としています。「進取の精神」に基づき、全国医学部の中で最も早い時期に麻酔科や脳外科、救急医学などの教室を設置し、現在もそれぞれの講座がそれぞれの伝統の上に活躍しています。また、「医学・医療の攻究」の表れとして、研究の項目に述べますように次々に新しい取り組みを行っています。新しいことにチャレンジしたり、認めたりする大学の環境は「自由闊達な気風」があるからこそと思います。

研究に対して学生が興味を持つように、3年生で基礎配属を行い、さらにMD-PhDコースを基礎医学とフロンティア医学研究所の教室に設置しています。MD-PhDの教育内容は各教室の裁量として自由にしています。在籍者の中には、第一著者として複数の英語論文を出す学生もいます。

北海道の面積は四国の4倍以上、九州と比べても2倍を超え、広いことが北海道の医療の重い課題です。卒業生が積極的に「地域への貢献」を行うよう、学生に地域医療を体感させる取り組みを行っています。文部科学省の大学改革推進事業として、地域病院に学生を長期滞在させる診療参加型の臨床実習を行っています。また、利尻などの地域の市町村や病院等のご協力のもと、夏季に教員と学生が地域に滞在し実習を行っています。さらに、今年度からは3年生全員に、小グループに分かれて地域医療機関に滞在するカリキュラムを導入しました。これらの地域実習は、学生が社会常識を持ち、人間性と良識を備えた医師となっていくためにも大切です。また、実技の徹底のために、4年生のOSCEと6年生のadvanced OSCEの合格をそれぞれ進級と卒業に必要としています。

【研究】臨床研究中心の地域医療への貢献

札幌医科大学 医学部 神経科学講座 教授 長峯 隆

先生

公立大学法人10年目の本学は、建学の精神「進取の精神と自由闊達な気風」に基づき、北海道の医療と道民の健康増進に貢献するための研究をめざしています。がん研究所、教育研究機器センターを平成23年に統合してできた附属研究施設のフロンティア医学研究所、地域医療の単位取得を交えながら研究を推進する臨床医学コースなどが組織面での特徴です。建学以来の研究の中心であるがん、免疫を対象とした成果が臨床に応用できるようになり、膵臓がんの進行期患者に対するペプチドワクチンによる治験を東京大学医科学研究所附属病院および神奈川県立がんセンターとの共同体制で推進しています。

「中枢神経系の再生は困難」という20世紀初頭の定説への挑戦も、骨髄幹細胞を用いた治療で実現に近づいています。脳梗塞に続いて平成25年より開始した脊髄損傷に対しての治験は、厚生労働省の「先駆け審査指定制度」の再生医療等製品としての認定まで来ました。基礎分野の研究では、「ストレス応答の分子機構、病態との関連」「タイト結合の機能調節機構」「がん幹細胞の生物学」「心臓自動能の発生」「寿命延長効果にかかわるサーチュイン遺伝子」など幅広く行っています。臨床研究では「骨髄間葉系幹細胞を用いた糖尿病と認知症の治療」「スポーツ医学」「生活習慣病の予防医学的研究」「機能的脳神経外科手術」「男性性機能障害の治療」などに取り組み、いずれも知的財産管理学からの観点を積極的に取り入れています。「病原体関連分子パターンの構造、生物活性、抗原性」に始まる感染性微生物の研究は、「感染症流行の時系列解析」を海外とも協力研究を進め、感染症対策に寄与しています。社会の様々な領域における一般の人々の心の問題に対しても取り組むことを含め、臨床につながる研究を意識しています。

【学生生活】授業や実習に刺激を受けて成長していく

札幌医科大学 医学部 5年 齊藤 聖也
同 5年 佐藤 美智枝

齊藤:札幌医科大学の良いところは、勉強と遊びのメリハリのついた学生が多いことです。勉学に対しては真面目に取り組み、息抜きをするときは本気で遊ぶ。切り替えの上手い人が多く、この環境を気に入っています。24時間利用できる図書館があるので、そこで勉強する学生が多いですね。テスト期間中に協力し合うことで、学生同士仲良くなっていると感じます。

佐藤:面白い授業がたくさんあることも魅力の一つです。私は、4年生の時のPBLチュートリアルが印象に残っています。先生が提示した症例を、病名も分からない状態から、どういう病気なのか一生懸命調べました。

齊藤:今は臨床実習の最中で、消化器内科にお世話になっています。研修医と一緒に指導を受けられるので、卒業後に消化器内科で研修した場合どのように動くことになるのか、想像できてとても楽しいです。ケーシーを着て実習していると、患者さんには僕も医師の一人に見えるんですよね。治療について質問されて何も答えられなかったりすると、もっと勉強しないといけないと痛感します。

佐藤:私は婦人科の実習中ですが、教科書で勉強した疾患を抱えている患者さんを目の前にすると、医師になるという自覚が芽生えてきます。私の地元は医師不足のため子どもを産むことが難しい状況です。妹が産まれた時も、不安に思ったことがあり、医師が必要とされているということを実感したことがきっかけで、医師に興味を持ちました。

齊藤:僕たちの一つ下の学年から新たな地域枠が導入され、一学年あたりの道内出身者の割合が増えています。札幌医科大学には、医師不足を肌で感じて育ち、問題意識を持っている学生が多いと思います。

※医学生の学年は取材当時のものです。

 

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