FACE to FACE

interviewee 廣瀬 正明 × interviewer 榛原 梓園

各方面で活躍する医学生の素顔を、同じ医学生のインタビュアーが描き出します。

 

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廣瀬(以下、廣):榛原くんは僕と色々共通点があるから、じっくり話してみたいと思っていたんだ。僕は国際基督教大学(ICU)を卒業してから医学部に入学したんだけど、榛原くんも周りの同級生より少し年上だから親近感があって。あと、僕は小さい頃アメリカで暮らしていたんだけど、榛原くんも中国で生活してたことがあるんだよね。

榛原(以下、榛):両親が中国人で、小学1年生まで中国にいたんだ。昔から自分にしかできないことをやりたいと思っていて、最近、日本の医療を学んで、中国でそれを活かした診療をするのもいいと思うようになった。廣瀬くんは、何がきっかけで医学部に行こうと思ったの?

廣:僕は高校時代は進路選びに悩んでいて、入学してから専門分野を決められるICUに入ったんだ。そうしたら、授業中、途上国で医療ボランティアをしていた医師の話を聞く機会があった。途上国だと医療にアクセスしづらいし物資や人材も足りない、だから本来救える命も失われてしまう、という話だった。そのときは正直それがどういうことなのか全然理解できなかったんだけど、頭の片隅にずっと引っかかっていた。

それで、夏休みにインドの診療所に1か月くらい行ったんだ。そうしたら本当にその医師の話通りだった。金銭的な問題とか病院へのアクセスとか、原因は色々あるんだけど、とにかく医療を受けるのが難しい。だから日本では見なくなった病気もまだまだ蔓延していて、かなりショックを受けた。こういうことってインド以外でもたくさん起こっているだろうし、医師になれば自分の手で困っている人を助けられると思って、医学部に入ろうと思ったんだ。

榛:医療にアクセスしづらい状況は、中国にもあるからちょっとわかるな。中国だと、そもそも些細な症状には市販薬で対処するのが一般的だから、日本人ほど気軽に病院には行かないんだよね。

廣:そうそう、僕もアメリカにいた頃はあまり病院に行くことが身近じゃなかったから、日本に戻ってきたときにはちょっと驚いた。

榛:日本が特殊という側面もあるんだろうし、日本のシステムが他の地域にもぴったり合うわけではないと思うけど、早期発見・治療のためには医師に診てもらうハードルが低い方がいいのは確かだよね。そう考えると、途上国における市民と医療の間の距離を縮めていくことは必要だと思う。だけど、そのためには結局根本の医療システムから変えないといけないんだよね。

廣:その通りだと思う。僕は途上国医療に興味を持ってから、HEART's*という学生団体に入って途上国の支援活動をしたり、色々勉強したんだけど、そこで感じたのは、ボランティア活動には限界があるということ。他国から手を差し伸べることは問題の根本的な解決にはならなくて、その国のシステムを変えていくことを考えないといけない。だから、まずは日本のシステムについて詳しく知って、良い部分と悪い部分を把握したい。そうしたら海外に日本の良い部分を輸出できるんじゃないかな。

榛:日本で医師免許を取るわけだし、今は日本の医療についてしっかり勉強して、それから自分たちなりに海外の医療に貢献していきたいね。

廣:そうだね。意外と同じようなことを考えてたことがわかったし、今日は話せて良かった。将来何か一緒に活動できたらいいね。

F2F

*HEART's…NPO法人ジャパンハート直属の学生団体。ジャパンハートは2004年、国際医療ボランティア団体として設立された。「医療の届かないところに医療を届ける」という理念のもとに様々な活動を行っている。

廣瀬 正明(名古屋市立大学4年)
1988年、名古屋に生まれ、幼少期をアメリカのカリフォルニア州にて過ごす。2011年に国際基督教大学教養学部を卒業。在学中、単身インドに渡り、農村地帯に1か月間滞在してメディカルインターンシップに参加。2013年、名古屋市立大学医学部に入学。「HEART's」や学内の東北支援サークルの活動に従事し、現在に至る。

榛原 梓園(名古屋市立大学4年)
正明とは実はそこまで深く話したことは無かった。たまに授業で席が近くになるとすごく気が合ったが、その理由が今回わかった気がする。こんなに身近に同じ思いで日本、そして世界の医療を見つめている人が居るとわかって驚いたが、正直嬉しくてたまらない。世界に羽ばたけるように、まずは日本の医療について2人で切磋琢磨して頑張って極めたい。

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