大解剖!医療保険のしくみ

医師になる人が知らなくていいの?
大解剖!医療保険のしくみ

くも膜下出血で入院すると、300万円かかる!?

医学部の3~4年生になると、臨床医学の授業で様々な病気について学びますが、それぞれの治療にかかる医療費について教わることはほとんどありません。

例えばくも膜下出血で救急搬送された場合、手術代がおよそ100万円、入院・検査・リハビリなどの費用を含めると300万円近い医療費がかかると言われます。もし、これだけの金額を患者自身が払うのであれば、「そんな貯金はない」「生活費がなくなる」ということになりかねません。医療者側もかかった費用を回収できなければ困るので「300万円かかりますが手術してもいいですか?」と聞いてから治療するようになるでしょう。

けれど今の日本では、そんな心配をする必要はありません。いつ、どの医療機関に搬送されても、保険証さえあれば自己負担は3割で済みます。また、短期間に高額の医療費がかかった場合は、所得に応じて自己負担額の一部が還付されます。人によって差はありますが、300万円のうち実質的な負担は20~40万円くらいで済むのです。

なぜ医療保険の問題が国試に出題されるのか?

このように、お金の心配をすることなく質の高い医療が受けられる国は、世界的に見ても多くはありません。日本は、世界に誇れる公的医療保険制度~国民皆保険~を有している国なのです。

右のページで紹介したのは、医師国家試験で出題された医療保険に関する問題です。学生のみなさんの多くは、医療保険について具体的なイメージを持てないまま、とりあえず過去問や参考書の内容を覚えるのでしょう。けれど国家試験に出題されるということは、「医師になる人に必ず知っておいてほしい」というメッセージでもあります。

私たち日本の医師には、診療技術を高めることはもちろん、今までのように誰にでも質の高い医療を提供できる制度を守っていく責任があります。そのためにも、これから医師になるみなさんに、ぜひ医療保険制度について知り、考えていただきたいのです。大学では「公衆衛生」などの時間に触れられるとは思いますが、今回の特集ではわかりやすい形でお伝えするので、ご一読ください。

日本の医療を支える国民皆保険

医療保険が直面する問題

座談会「これからの医療保険制度」

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