大解剖!医療保険のしくみ
まず、私たちが患者として医療機関を受診したとき、どのようにお金が動くのかという具体的な流れを見ていきましょう。下のイラストもあわせてご覧下さい。

被保険者の視点

いつでも誰でも受診できる

体調が悪いと感じたら、みなさんはまず「病院へ行こう」と思うでしょう。これは当たり前だと感じるかもしれませんが、そう思うことができるのは、「フリーアクセス」というしくみがあるからです。大病院・中小病院・診療所など病院の規模や、内科・外科などの診療科を問わず、患者が受診したいと思ったときに自由に受診先を選ぶことができるのが「フリーアクセス」です。

例えばアメリカでは、保険会社に指定された医療機関を受診しなければならなかったり、指定された医療機関以外を受診した場合には費用が高くなったりします。イギリスでは、まず各家庭の一次医療を担う家庭医(General Practitioner)に診てもらわなければ、病院など専門的な医療を提供する医療機関にかかることはできないしくみになっています。海外と比較すると、フリーアクセスは日本の医療制度の大きな特徴と言えます。

また日本では、急病や交通事故などの際は119番をダイヤルすれば、無料で救急車が出動する体制も整っています。

3割を自己負担

このようにいつでも誰でも医療機関を受診できるしくみが整っているのですが、医療サービスを受けるためには、保険証を持っていなければいけません。なぜなら、保険証を提示することで、診療にかかった医療費・医薬品代の3割を窓口で支払えばよいというしくみになっているからです。この「3割自己負担」というしくみは、みなさんにも馴染みがあるのではないのでしょうか。

もう少し具体的に、例えば花粉症で耳鼻科クリニックに行ったときの流れを追ってみましょう。みなさんは診察を受けた後、窓口で会計をし、そこで処方箋と領収書を渡されます。そのときの領収書を見てみましょう。初めてこのクリニックにかかった場合、初診料として「初診料270点」がかかり、処方せんの発行料として「投薬68点」、鼻腔内の処置がされ、その処置料として「処置31点」が加算されたとすると、合計369点になります。この点数は1点=10円で計算しますので、実際にかかった金額は3690円です。しかし3割負担のしくみにより、窓口で患者本人が支払う金額は1110円になります。

これは70歳未満の場合であり、70歳以上は負担割合や制度が違います。以前は高齢者の医療費は無料でしたが、現在は1割を負担することになっています。また年齢に関係なく、ある月に支払った医療費が一定以上を超えると、その分の医療費が還付される「高額療養費制度」もあります。所得に応じて支払う額の上限が設定されており、それを超えた分の医療費は還付されるしくみになっています。

このように、実際にかかった医療費の一部を負担すればよいしくみにより、私たちは安心して医療サービスを受けることができるのです。

それでは、私たちが支払った残りの7割はどうなっているのでしょうか。続いて医療機関側のお金の流れを見てみましょう。

医療にかかるお金の流れ

保険医療機関の視点

保険者の視点

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