事務職員
医療生協さいたま生活協同組合
さいたま総合診療医・家庭医センター
芦野 朱さん

医学生・研修医をサポート

main教育研修室の事務スタッフ、IPW研修のメンバーと。
写真左から3番目が芦野さん。

医療生協さいたま生活協同組合は、総合病院である埼玉協同病院をはじめ、中小病院・診療所・介護施設など埼玉県内に多くの事業所を展開しています。さいたま総合診療医・家庭医センターは、それらの施設が連携しながら、埼玉県で働く総合診療医を育成することを目的に設立された研修機関です。芦野朱さんはこのセンターの事務職として、医学生や研修医向けの様々な教育プログラムの開発に携わっています。

「当センターでは、医学生や研修医の皆さんが、医療生協さいたまならではの、生活に根付いた医療を体験できるような実習を提供しています。例えば、訪問診療ではなく訪問看護に医学生が同行したり、MSW*と共にベッドサイドに行ったりと、他の職種から学ぶ実習が多いことが、当センターの特徴だと思います。実習を企画するときは、他の職種と直接顔を合わせて意見をもらうことも多いですね。

プログラムは、医学生や研修医一人ひとりの希望を丁寧に聞き取り、様々な実習を組み合わせてオーダーメイドしています。医学生や研修医の皆さんが目指す医師像に近付けるよう、私たち事務職は伴走者のような気持ちでお手伝いしています。」

医療機関の事務職員の専門性

芦野さんは他にも、院内外の職員が多職種連携について学び合う研修会を開催したり、医療事務の専門性に関する研究をして学会発表をしたりと、幅広い活動をしています。そんな芦野さんに、事務職員の専門性について詳しく聞いてみました。

「事務職員の専門性の一つとして、他の職種がより専門性を発揮できるように、場を整えることが挙げられると思います。例えば、カンファレンスであれば、会議の議事録やメモを取ったり、タイムキーパーを務めたりすることなどですね。これらはごく当たり前の、誰にでもできることかもしれません。ですが、一歩引いたところからその場を俯瞰し、誰も手を付けていないところに気付いて補填することこそ、事務の大事な役割ではないかと思うんです。

また、医療の専門知識を多く持たないからこそ、患者さんに近い立場で関わることができるのも、事務の強みではないかと思います。医師の前ではつい遠慮したり、見栄を張ってしまったりする患者さんが、事務には本音を言えるということもあります。長く勤める事務のパートさんが、地域のことを本当によく知っていて、患者さんとの関係もすごく良好…なんてこともよくあるんですよ。医学生の皆さんには是非、様々な多職種と話す機会をたくさん持ち、多職種が知っている細かな情報を引き出せるような医師になってほしいと思います。」

*MSW…医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker)

※この記事は取材先の業務に即した内容となっておりますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。