シリーズ連載
医科歯科連携がひらく、これからの「健康」②
口腔ケアの充実で合併症を減らす(前編)

足利赤十字病院の医科歯科連携の取り組み

歯科医療は、歯の治療だけを扱うものではありません。口腔内の清潔を保ち、様々な合併症を予防する口腔ケアも、歯科医療が専門とする分野です。今回は、口腔ケアの分野で医科と歯科の連携に積極的に取り組んでいる足利赤十字病院の取り組みについて、院長の小松本悟先生にお話を伺います。

 

リハビリテーションと歯科

koukoku2――足利赤十字病院では、どのような形で医科と歯科の連携が行われているか、お聞かせいただけますか?

小松本(以下、小):まずは私たちの取り組みの経緯からご説明しましょう。医科と歯科の連携に取り組むきっかけになったのは、2011年の新病院開院の際に作った回復期リハビリテーション病棟に、咀嚼や嚥下を専門とする馬場尊先生が部長として赴任されたことです。

実は私も、昔は歯科との連携を意識してはいませんでした。ただ、神経内科医として、脳卒中の患者さんが誤嚥性肺炎を起こして入院が長引くケースが多いことは以前から気になっていました。馬場先生は、脳卒中後の誤嚥性肺炎には、嚥下の問題が深く関わっており、適切な口腔ケアが必要だと指摘しました。もともと脳卒中の患者さんは片麻痺から嚥下障害を起こしやすいのですが、それに加え、挿管していて口腔ケアが適切になされていないケースも多かった。結果、細菌が肺に流れ込み、誤嚥性肺炎が起きやすくなっているというのです。そこでまずは東京医科歯科大学から1名の歯科医師に来ていただき、脳卒中の患者さんへの口腔ケアに取り組み始めました。

口腔ケアで誤嚥性肺炎が減少

――口腔ケアに力を入れたことで、どのような変化が起きましたか。

:2011年には、脳卒中の患者さんが誤嚥性肺炎を合併する割合は13%でした。しかし取り組みが始まると、その割合は10%、8%と減少していきました。この成果を得て、病院全体として口腔ケアに力を入れる価値があると実感しました。

今は、脳卒中に限らず入院患者の多くが高齢者です。高齢者は嚥下に問題があったり、ADL(日常生活動作)の低下によって口腔内の状態が良くない方が多く、肺炎を起こしやすい。また、がんの化学療法や放射線療法はもちろん、緩和ケアを受けている患者さんなど、様々な疾患の患者さんの口腔ケアに取り組むことにしました。

――本格的に医科歯科連携に力を入れ始めたのですね。

:はい、リハビリテーション部門の歯科医師の数も増やしました。また、歯科衛生士も巻き込んで、馬場先生のもとで口腔ケアの指導の方法と、嚥下のグレードについての医学的なアドバイスを受けるようになりました。摂食・嚥下の分野は非常に複雑で、それを専門とする職種と連携しないとうまくいきません。そこで、リハビリや緩和ケア、がん化学療法のチームの中に、歯科を専門とするメンバーを入れるようにしました。

 

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