日本医師会より
医師会役員になるということ

日本医師会で活躍する女性常任理事にお話を伺いました。

「日本医師会より」のコーナーでは、不定期に日本医師会役員のキャリアや横顔を紹介していきます。今回は、女性常任理事の道永麻里先生と温泉川梅代先生に、学生時代からの軌跡を振り返っていただきました。

結婚・出産・勤務医時代

温泉川(以下、温):まずは、学生時代から開業するまでのお話をしましょう。

道永(以下、道):私が医学部に入った当時、女子学生は1割にも満たないくらいで、今から比べると随分少なかったです。そんな男社会で医師をやっていくには、よほど体力がないと無理かなと思っていました。私は外科系に興味がありましたが、当時は千葉大の小児外科に女性が入ったというだけでニュースになるような時代でした。最終的には皮膚科を選びました。

:私は部活の先輩から、リハビリをやらないかと整形外科に誘われましたが、結婚が決まっていたこともあり、働き方を考えて産婦人科を選びました。産婦人科も体力が必要な科だったのですが。先生は、ご結婚は?

:私は医学部を卒業してすぐ、5月に結婚しました。

:私も卒業後すぐに結婚して、25歳で一人目の子どもを出産しました。28歳から31歳までは夫の職場に近い病院の産婦人科で一人医長として働きました。

:私も産休後すぐに復帰しました。夫の実家で同居していたので、色々と助けられましたね。

:家族に頼れるのは心強いですね。私は、子ども二人を連れて離婚したので広島市内の病院に戻りたかったのですが、当時は、子持ちの女性医師を歓迎するような雰囲気はなく、出身大学ではない岡山大学に入局してやっと市内に戻りました。

開業までの経緯

:医局から市中病院に出て働いていた頃、内科を開業していた夫の父が急に亡くなってしまったんです。それで、私が医院を引き継ぐことになりました。市中病院を年度末で退職して、休みなしで4月1日には開業しました。卒業して丸5年が経ったところでしたね。

:最近だと、そんなに若いうちに開業することは少ないですよね。私も33歳で開業しましたが、一人医長を経験していたので、開業のハードルはあまり高く感じませんでした。けれど勤務医時代は一人だったのでなかなか学会等に出ることはできず、日頃は自分で勉強して、時々近くで行われる勉強会に出るという感じでした。開業してから、よく本も読み、勉強会にも出ました。今の若い先生方は、娘を見てもですが、もっと長く医局などで研修を積んでいますね。

:開業してからの方が、子育ては楽になりました。自宅で9時から仕事を始めるので、子どもは保育園ではなく幼稚園に入れていました。昼は医師会の仕事が入り、夕方の診療もあるので義母やお手伝いさんにはお世話になりました。よく女子医学生には話しているのですが、家族や周囲を味方にすることは、女性医師が仕事を続けるうえで本当に大事なことだと思います。

医師会役員の仕事

:道永先生は、いつ頃から医師会活動に積極的に参加するようになったのですか?

:開業して3年ぐらい経った頃ですね。それまでも委員会活動には参加していましたが、ある日、地域の医師会長から「そろそろ子育ても落ち着いたでしょう、医師会の役員になりなさい」と電話があったんです。上の子が小学校に入る頃でした。

:ずいぶん早かったんですね。私も開業してまもなく委員会活動に参加するようになりましたが、役員になったのは55歳のときです。広島市医師会では初の女性役員となりました。

:当初は先輩に誘われて参加していた医師会の活動ですが、参加しているなかで、積極的に発言することが、現場でやりにくいと思ったことを少しずつ変えることにつながるかもしれない…と思えるようになりました。

:医師会役員は、「なりたい」と思ってなるものではなく、医師会活動に参加するうちに、様々な問題意識を持つようになった人が自然と担うようになるものなんだなと、今となっては思います。そういう意味でも多くの人が委員会活動にぜひ参加していただきたいです。

:そうですね。学生時代は、自分が医師会役員になるなんて思ってもみませんでしたが、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいるうちに、いつの間にかこんな立場にたどり着きました。

:せっかくチャンスを頂いたので、関心のある領域で意義ある仕事をしたいですね。日本医師会は法律や制度に対して発言できるので、今の課題である子どもの健康や保健を切れ目なく守るための「成育基本法」の成立に力を入れていきたいと思っています。

:私も、学校保健の担当として文部科学省とやり取りをする機会が増え、ようやく教育に対して発言できている、という手応えを感じています。充実していて、今が一番楽しいですよ。

:キャリアや結婚・出産など、女子学生は特に悩むことも多いと思いますが、その時その時の仕事や状況にちゃんと取り組んで、後悔のないように頑張ってほしいと思います。

koukoku1 今回お話を伺った先生

温泉川 梅代
日本医師会 常任理事

「思い描いた通りでない人生も案外悪くありませんよ」

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道永 麻里
日本医師会 常任理事

「医師会役員になるなんて全く想像していませんでした」

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