大学紹介

横浜市立大学

【教育】横浜市立大学医学部医学科の教育の特徴

横浜市立大学 医学部 医学教育学 主任教授 稲森 正彦

先生

横浜市立大学医学部のルーツは、丸善の創始者として有名な医師・実業家であった早矢仕有的が明治4年に長崎に次ぐ日本で2番目の洋式病院である横浜仮病院を開院したことにあります。その後十全医院と名を変え、昭和19年横浜市立医学専門学校が開校。昭和22年に横浜医科大学、昭和27年に横浜市立大学医学部(新制)となり、現在に至ります。“国際都市横浜における知識基盤社会の都市社会インフラとして教育研究・医療の拠点機能を担うことをその使命とし、社会の発展に寄与する市民の誇りとなる大学を目指す。”という使命のもと、教育重視・学生重視・地域貢献を三つのモットーとして運営されています。横浜市内の多くの病院が大学と関連し、距離的にも人的にも医学部との協働が容易である、という特徴を生かした「都市型の地域医療」を担う役割は大きい、と考えており、実際、卒業生の多くが横浜市をはじめとする神奈川県で奉職しています。

医学科では平成24年に医学教育センターが設置され、近年の医学教育改革の流れを汲みながら改革を進めてきました。平成25年11月には海外の評価機関であるSGB consultantsによる外部評価を受審し、能動的学習の拡充、臨床実習70週化等のカリキュラム改革を図ってきました。また最近では世界医学教育連盟(WFME)グローバルスタンダードに基づいて改革を進め、平成28年5月に日本医学教育評価機構(JACME)による認証評価を受審しました。

教育重視の観点からはシミュレーター教育の活用、4年次の15週に及ぶリサーチクラークシップの拡充、海外交流の拡充など、学生中心の観点からは新入生合宿の実施や担任制の導入などきめ細やかな相談体制の整備、地域貢献の観点からは福祉施設実習や地域保健医療学実習など、地域基盤型医療教育体制の整備に取り組んでいます。日本で最も少ない90名の定員で、家族的な雰囲気の医学科ですので、ぜひ進路としてご考慮いたければと思います。

【研究】組織横断的な最先端研究を展開

横浜市立大学 先端医科学研究センター長 折舘 伸彦

横浜市立大学は、学生数が5000人未満の「小規模大学ランキング2016」で、日本2位、世界16位になりました。小規模ではあるものの、論文引用率や外部資金の獲得など、高い研究力を有していることが評価されたものです。特に「強み」である研究分野をみると、がん・再生医療・遺伝子・感染症・免疫・植物学などの領域であり、これらは既に世界レベルでの実績をあげています。こうした最先端の研究を行っている拠点として、先端医科学研究センターがあります。ここでは、がん、生活習慣病などの克服を目指した基礎研究と、その成果を臨床に応用する橋渡し研究を推進しています。平成18年のセンター開設より10年が経過し、この間に、ゲノム(遺伝子)・プロテオーム(タンパク質)・セローム(細胞)を中心に組織横断的に協力しながら、臨床・産業現場におけるニーズに応える実用化技術の開発を目指して、様々な「研究開発プロジェクト」を展開してきました。こうした取り組みに対する国からの期待も大きく、これまでに文部科学省の「イノベーションシステム整備事業」や、日本医療研究開発機構(AMED)の「難治性疾患実用化研究事業」「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」「脳科学研究戦略推進プログラム」のような大規模プロジェクトに採択されています。「イノベーションシステム整備事業」では、最新のプロテオーム解析技術を用いて、疾患の原因タンパク質の解明や創薬を産学連携で進め、卵巣明細胞腺がんの診断マーカーや、脳卒中後のリハビリテーションの効果を高める薬の開発を進めています。「難治性疾患克服研究事業」では、遺伝子性難治疾患を対象に、変異から染色体微細欠失までゲノム上の変化を検出できる次世代シーケンス解析によって、多くの難病の責任遺伝子を解明し、「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」では、世界で初めてヒトiPS細胞から血管構造を持つ機能的なヒト臓器の作成に成功しました。今後も、最先端の医科学研究を進め、優れた研究成果を世界に発信していきます。

【学生生活】少人数で、深く学ぶ

横浜市立大学 医学部 4年 飯尾 知輝
同 4年 山本 翔太

山本:横浜市立大学には、学生が使えるシミュレーションセンターがあります。センターにはベッドや様々な診察・処置のシミュレーター、医療機器があって、附属病院の医師・看護師だけでなく、医学生も予約をすれば使うことができます。外科寺子屋というトレーニング講習も開かれています。OSCEの準備のため、今日も採血の練習をしてきました。

飯尾:4年次の前期に、3か月間の研究実習がありました。自分の興味のある研究室を選べるのですが、僕は、学生の今のうちだからこそ、臨床以外の研究に取り組むチャンスなのかなと思い、医学教育学の研究室を選びました。3年次に医療倫理の授業を受けて関心を持っていた「医師とはどうあるべきか」といったテーマについて他学部の学生に討論してもらって、それを分析するという研究をしました。

山本:僕は再生医学の研究室で、肝臓の再生に関する研究をしました。研究室の先輩の手伝いという感じではなく、ラットを使った実験からデータの解析まで、色々自分でやらせていただけたので、とても勉強になりました。

飯尾:横浜市立大学の医学部は一学年が90人と小規模で、学年みんなと顔見知りになります。部活動も活発で、先輩後輩のつながりもたくさんできます。グラウンドも大学のすぐ近くにあって、広さも十分なので部活同士で場所を取り合うこともなく(笑)、部活の環境には恵まれていると思います。

山本:医学部キャンパスは海のすぐそばで、自然豊かな立地です。キャンパスと直結している市大医学部駅からは30分ぐらいで横浜に出られて便利です。

※医学生の学年は取材当時のものです。

 

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