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近年、高齢者の過半数が「最期を自宅で過ごしたい」と望んでいること*1、医療費や医療資源が限られていることから、患者さんが住み慣れた場所での看取りが推進されつつあります。皆さんは「人を看取る」というのはどういうことなのか、想像することができますか?

日本は現在、いわゆる「多死社会」を迎えつつあります。死亡数は毎年約2〜3万人ずつ増加しており、ピークを迎える2040年前後には、年間およそ167万人もの方々が亡くなると予測されて*2います。

さて、死因の中で最も大きい割合を占めるのはがんであり、2015年には28・7%の方ががんで亡くなって*3います。また、生涯でがんに罹患する確率は、男性63%・女性47%*4で、「2人に1人はがんになる時代」とも言われています。医学生のほとんどは、医師になって臨床に出た後、何らかの形でがん患者さんに関わることになるでしょう。

急性期病院で働く医師の仕事は、まずは疾患を治療することです。しかし、がんの患者さんの中には、ステージが進むにつれ、積極的治療が功を奏さなくなる人も少なくありません。そんな患者さんを看取っていくことは、これからの医師の大切な使命のひとつではないでしょうか。また、急性期の治療においても、医師が退院後の生活や看取りについて知っていることは、より良い医療の提供につながるはずです。

今回の特集では、主にがんの看取りにフォーカスし、積極的治療を中止した患者さんが、どのような経過をたどって亡くなることになるのかを、詳しく解説します。また、診療においてがんの看取りに力を入れている先生方へのインタビューも掲載しています。

この特集を通じて、急性期の病院を退院した患者さんが、その後の人生をどのように生き、そして亡くなっていくのか、イメージしていただければと思います。また、老老介護や独居の高齢者も多いなか、医療者がどのように看取りをサポートできるのかについても考えてみましょう。

 

*1 内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年)
*2 国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)
*3 厚生労働省 平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況
*4 国立がん研究センターがん情報サービス 最新がん統計(2016年8月更新)

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