大学紹介

京都大学

【教育】京都大学医学部医学科の教育

京都大学大学院 医学研究科 医学教育・国際化推進センター 錦織 宏

先生

京都大学医学部は、1899(明治32)年京都帝国大学医科大学として創立された、100年以上の歴史と伝統を持つ医学部です。自由の学風を謳う京都大学の中でも特に、本医学部には全国各地から高い志を胸に秘めた気鋭の若者が集い、世界に誇る医学者を輩出するとともに、多くの独創的な研究成果を発信し続けてきました。この京都大学医学部の精神をわかりやすく表現したものに、“Curiosity, Challenge and Continuation(3C)” という言葉があります。

近年、医師には膨大な医学知識や技能が求められるようになりました。ただ、医学生はそれを修得するだけでは十分ではありません。なぜなら医学領域には今もなお、広大な“Unknown(未知)”が横たわっているからです。この“Unknown”に立ちすくむことなく、むしろ魅入られ(Curiosity)、その解明を目指して果敢に挑戦し(Challenge)、その志を持続していくこと(Continuation)を、本医学部の学生には期待しています。

京都大学医学部では、医師になるために必要な基礎医学・臨床医学・社会医学の講義と実習に加えて、研究者を育成するための独自の教育も行っています。1回生の頃から研究室に所属するMD研究者育成プログラム、4回生の頃に数か月にわたって様々な自主研鑽(学内外の研究室での研究や医療機関での実習、海外への短期留学など)を行うことのできるマイコースプログラムなどはその一例です。ただ何より誇るべきは、京都大学を基盤に世界の第一線で活躍する研究者との接点が得られることにあり、これは医学部に所属する研究者に限りません。このような機会を活かして、世界をリードする医学研究者になっていってほしいと心から願っています。

【研究】京都大学医学部の基礎医学研究

京都大学大学院 医学研究科 機能微細形態学 教授 斎藤 通紀

京都大学医学部は、1899年の創立以来、京都大学の「自主自学」の精神、「自由の学風」を継承し、解剖学・病理学・生化学・分子生物学・生理学・神経生物学・免疫学・薬理学・細胞生物学・構造生物学など、多くの基礎医学分野で世界を牽引する傑出した業績を輩出してきました。

その中で、私たちは、生命の根源たる生殖細胞の発生機構を解明し、その過程を培養ディッシュ上で再現することで、医学・生命科学さらには生命哲学に貢献することを目指した研究を行っています。生殖細胞は、精子および卵子に分化し、それらが融合することで新しい個体をつくり、新しい世代に遺伝情報を伝える細胞です。哺乳類の生殖細胞研究は、20世紀半ばの齧歯類を用いた初期胚培養系・試験管内授精法の確立により発展し、その技術がヒトに応用され、1978年イギリスで初の試験管ベビーが誕生しました。現在、先進国では、約40人に1人が生殖補助医療により誕生しています。さらに、生殖細胞研究は、ES細胞の樹立・体細胞クローンの作出・ゲノムインプリントの発見等をもたらし、転写因子により体細胞をリプログラムするiPS細胞の樹立につながりました。生殖細胞研究は、医学、医療、さらには生命哲学に大きな影響を与えています。

私たちは、マウス生殖細胞の発生機構を解明し、培養ディッシュ上で、マウスES細胞やiPS細胞から始原生殖細胞を誘導し、それらから精子、卵子、さらには健常な産仔を作出することに成功しました。この技術は、生命の永続性を保証する転写・エピゲノム制御機構、ゲノム多様性生成機構の解明につながっています。私たちは、これらの成果をヒトに応用するため、カニクイザルを用いた研究、ヒトiPS細胞からヒト生殖細胞を誘導する研究を推進しています。これらの研究を通して、多様性を生成しつつ遺伝情報を継承し、エピゲノム制御により全能性を獲得する分子機構とその進化を解明し、医療につながる様々な応用研究を展開したいと考えています。

【学生生活】豊富なリソースを主体的に活用

京都大学 医学部 6年 池尻 達紀

京都大学医学部の強みは、人文学・社会科学等、他分野の視点も含めて幅広い視野で医学を学べることだと思います。1・2回生の間は人文科学や語学などの一般教養を身に付けながら、医学も少しずつ学んでいくカリキュラムになっています。京都大学医学部の研究室には文系を含めた様々な背景を持つ先生が所属されているのも特徴です。例えば、映画やテレビ番組を医学教育に使い対話的に学ぶ「シネメデュケーション」という手法を使った授業や、疫学・EBM・グローバルヘルス・臨床試験等、社会医学について学ぶ授業もあります。

もちろん医学の学習プログラムも充実しており、低学年の時に関連病院で実際の医療に触れられる早期体験実習や、いくつかの研究室を回るラボ・ローテーションという制度があります。臨床実習前の4回生では、マイコースプログラムという制度があり、京都大学内外の研究室や研究機関に所属し、自分の関心のあることに専念できる期間があります。僕はその期間にWHOに行きました。その際にも、一般教養でお世話になった、途上国支援や国際開発の研究をされている経済学部の先生にアドバイスを頂きました。

京都大学には、医学部分野に限らない様々な学びのリソースがあり、それらを出し惜しみせずに学生に提供してくれます。それらを使って研究に打ち込んでいる人もいれば、社会的な活動に積極的に取り組む人、留学する人もいます。自分で目標をもって、それに向かって主体的に行動することが、京都大学のリソースを活用するための必要条件だと思います。

※医学生の学年は取材当時のものです。

 

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