学校保健の全体像(前編)

 

現在、学校保健ではどのような活動が行われているのでしょうか。また、学校医には、学校保健活動において、どのような役割が求められているのでしょうか。

学校保健活動と、学校医の仕事

学校保健とは、「学校において児童生徒および職員の健康の保持増進を図ること」であり、学校保健安全法で規定されています。その活動には様々なものがありますが、なかでも医師をはじめとした医療職が関わる活動は、大きく三つに分類できます。

一つ目は健康管理です。健康診断での健康状態の把握や、学校で怪我をしたり具合が悪くなった場合の処置などが挙げられます。二つ目は保健指導です。保健指導には、手洗い・うがいの促進など、健康維持・疾病予防のために集団に対して行う指導と、健康診断で異常が見つかった場合などに個人に対して行う指導があります。三つ目は保健教育です。保健の授業などを通じて、児童・生徒に正しい知識を伝えます。

では、これらの三つの活動の中で、学校医は具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。その内容は、学校保健安全法施行規則で定められています。例えば、児童生徒および教職員の健康相談・保健指導・健康診断・疾病の予防処置や、感染症や食中毒の予防のための指導・助言、学校保健計画の立案への参与、学校の環境衛生に関する指導・助言などが、学校医の仕事とされています。

 

学校保健の全体像(後編)

学校保健にも多職種連携が必要

学校保健活動を行ううえでは、日頃から学校で保健活動に関わる養護教諭を中心に、学校の教職員、学校医・学校歯科医・学校薬剤師などの医療職、その他の専門職が協力していく必要があります。そして、健診結果や学校での様子を伝えるために、保護者との連携も欠かせません。また、地域の他の学校や医療機関、保健所などの行政機関との連携も求められます。なぜなら、例えば感染症が流行した際などには、情報を密に共有して感染の拡大を防ぐ必要があるからです。

チーム医療ではリーダーシップをとる立場の医師ですが、学校保健では決まった枠組みも多いため、どうしても「求めに応じて動く」という受け身の姿勢になりがちです。しかし、枠組みにとらわれず、医師がもっと積極的に学校に関わっていけば、学校保健の可能性は広がるのではないでしょうか。

次のページからは、医師が学校に積極的に関わっている事例を見ていきます。

 

 

 

No.24