地域の人たちの健康を保つ
~保健の視点~

これまでのページでは「一人ひとりの『食べる』に関する問題」に対して、医療や介護の仕組みを使って多職種が働きかける例を紹介しました。ここでは、それに加えて、多くの人の「食べる」を支えるための「保健」の視点に触れてみましょう。

下の漫画では、高齢者に対して各地で行われている保健の取り組みを紹介しています。高齢者向け料理教室や栄養相談会によって、「栄養バランスの取れた適切な食事」を準備できるよう働きかけます。嚥下体操を行う機会を作り、普段からの口腔ケアの方法を本人・家族にも身につけてもらうことで嚥下機能・咀嚼機能の低下を予防し、最終的には誤嚥性肺炎の発生を減らします。

これらの取り組みは、「食べる」ことへの意欲を高めることにもつながります。例えば一人暮らしで孤食が続き、料理への意欲や食への関心が低下した人も、料理教室で仲間と一緒に料理を作って食べる機会があると、食や生への意欲が高まります。たとえ料理ができなくても、会食会やデイケアのランチで他の人と一緒に食事を共にする喜びを味わうことができます。

今回の特集では、主に高齢者への取り組みを紹介してきましたが、「食べる」を支えるための関わりは、全ての住民に対して必要です。地域医療が目指す「地域の人の健康で幸福な生活」のために、「食べる」を大切にしながら医療・保健のアプローチを考えていくことが、今後ますます求められていくでしょう。

 

 

 

神辺 志保(保健師)
地域の保健センターに勤務。赤ちゃんから高齢者まで、全ての人の「食べる」を支えるために日々奮闘している。

 

 

 監修 吉村 学先生
 (宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座 教授)