授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】

今回は筑波大学「医療概論Ⅲ 健康教育 アルコール指導」

この企画では、学生から「面白い」「興味深い」と推薦のあった授業を編集部が取材し、読者の皆さんに紹介します!

理論と実践を短期間で効率良く学べる!

この授業では、1週間の企画実習として講義とグループディスカッションを行い、最後に成果発表として、学生が主体となって健康教室を実施します。短期間のプログラムで理論と実践を効率良く学ぶことができます。

アルコールを多面的に理解できる!

講義では、お酒で体を害した方や、アルコール依存症を持つ方のご家族など、当事者のお話を聴くことができます。心身への影響に加え、社会的な影響についても学ぶので、多面的に理解を深めることができます。

わかりやすい伝え方を考える機会になる!

健康教室での発表内容は、寸劇やクイズを交えるなど、学生自身で考えます。どうすれば聞き手にわかりやすく伝えられるかを考える良い機会になり、 この経験は将来、医師として患者さんに説明をする際にも役立つでしょう。

 

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(写真左)和やかにグループワークが行われています。
(写真中央)当事者のお話を振り返り、皆で議論します。
(写真右)どのように伝えるか、ホワイトボードで整理。

 

授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】

INTERVIEW 授業について先生インタビュー

人々の健康を守るという視点を育んでほしい

3年生の必修授業である「医療概論Ⅲ 健康教育」は、予防医学・健康教育の重要性を知り、それを効果的に実践するための技能を身につけることを目的とした授業です。授業のテーマには、「アルコール指導」の他に「栄養指導・運動指導」「喫煙防止教育:小学生」「離乳食指導」などがあり、学生たちは全体講義の後、自分で選んだテーマごとに分かれてグループワークを行い、成果発表として健康教室を実施します。

「アルコール指導」における到達目標の一つは、身近に存在するアルコールのメリット・デメリットを理解し、医療者の立場で再認識することです。アルコールによる身体的・精神的・社会的な害について理解するため、アルコール依存症を持つ方やそのご家族を招いて、お話を伺ったりもしています。

もう一つの目標は、成果発表として健康教室を行い、伝え方を学ぶことです。このテーマでは、後輩である大学2年生を対象に健康教室を行います。他のテーマが小中学生や母子などを対象にしているのに比べて、身近な存在が対象となることもあり、学生たちはどのような伝え方をすれば効果的かをしっかり考えながら取り組むことができているように感じます。例えば、未成年者と成年者の両者が関心を持てるような内容にしたり、2年生が授業で勉強している消化器の知識と関連づけたりといった工夫が見られます。また、寸劇やクイズを交えるなど、様々な手段も取り入れています。

こうした授業を通じて、集団の健康を保つためにはどうしたら良いかという視点が育まれ、いずれは県や国という単位で予防医学・健康教育について考える人が増えてくれたら嬉しい限りです。

吉本 尚先生
筑波大学医学医療系 地域総合診療医学
准教授

大脇 由紀子先生
筑波大学医学医療系 地域総合診療医学
研究員

学生からの声

アルコール問題が身近になりました

3年 土橋 考介
昨年3年生による健康教室の聞き手として参加したことがきっかけで、このテーマを選びました。当事者の方からお話を伺ったことで、アルコール問題が身近なものとして感じられるようになりました。また、実際に飲み会の場で活用できる知識も学ぶことができました。

お酒の怖さを改めて実感しました

3年 伊藤 竜也
部活の集まりでお酒を飲むこともあるため、このテーマを選びました。お酒は身近なものではありますが、アルコール依存症の方の話をお聞きしたことで、お酒の怖さを改めて実感しました。また、健康教室を経験したことで、自分の知識を人に伝える難しさも学びました。

興味を持ってもらえる発表ができました

3年 目良 渉
アルコール依存症は個人の性格によるものというイメージがあったのですが、誰でも陥る危険性がある問題だと知りました。健康教室では、聞き手にいかに興味を持ってもらえるかを意識して発表内容を考えました。後輩からの評判も良く、頑張った甲斐がありました。

 

No.28