急性期病院を退院した後、患者さんはどのようにして元の生活に戻っていくのでしょうか?

 

元の生活に戻るプロセスを知ろう

医学生が行う臨床実習や、卒業後に受ける臨床研修は、主に大学病院などの急性期病院で行われています。そこでは、入院患者さんが退院後、どのようなプロセスを経て元の生活に戻っていくのかを考える機会はほとんどありません。

急性期病院での入院治療は、多くの人にとって、人生のうちのほんの一時にすぎません。積極的な治療・管理が必要な局面が過ぎた後は、自宅をはじめとした「生活の場」へと戻り、日常生活を送ることになります。しかし高齢の方の場合、急性期治療を終えた後も、リハビリや経管栄養、生活支援が必要になることも少なくありません。そういった場合、どのような医療・介護サービスにつないでいけば良いのでしょうか?

地域包括ケアシステムを構築していくなかでは、急性期病院で働く医師も「この患者さんは、この先どこでどのように過ごすことになるのか」を考えながら診療にあたることが求められます。患者さんがスムーズに日常生活に戻れるようにするためにも、急性期治療を終えた後の流れがどうなっているのかを知っておくことが、ますます重要になるのです。

今回の特集では、とある医学生が出会ったケースをモチーフに、急性期医療の「ソノサキ」を見ていきます。皆さんも4コママンガの主人公になったつもりで、一緒に考えてみてくださいね。

 

 

 

佐藤 学
医学部5年生。少しおっちょこちょいだが、頑張り屋。

住田 キヨ
87歳、一人暮らし。大腿骨頸部を骨折して入院。脳卒中の既往あり。

市川 知子
住田さんの娘。住田さんの家から車で1時間ほどの市街地に住んでいる。

加治 諭
住田さんの主治医。教育熱心で優しい。

安井 治
有床診療所の医師。大学病院からの転院をよく受け入れている。