ケーススタディ 倉敷スイートタウン
回復期・慢性期の現場に行ってみました!(後編)

病状や治療経過だけでなく
その人のこれからの生活を考えて

――こうした現場で働くうえで、共に働く医師にはどんなことを期待しますか?

:医師に限らずですが、リハビリ・MSW・看護師・栄養士など、現場で働く多職種がしっかりと方針を共有し、足並みを揃えて患者さんと向き合うことがとても大事だと思います。

:医師の先生方には、ぜひ疾患だけでなく、患者さんの背景も一緒にみていただきたいと私は思っています。疾患の治療も大切ですが、患者さんには人生があり、今までの生活があり、これからどう生きたいかという思いが絶対にあります。そして、それを聞いているのは、看護師やリハビリ、MSWだったりします。

:日頃から患者さんと一番関わっているのは看護師なので、看護師が観察している内容を共有することができたら、患者さんの生活がよりイメージできるのではないかと思います。

:だから先生方には、ぜひ私たちの声を聞いて、患者さんの今後のことを一緒に考えていただきたいですね。

――急性期病院で働く医師や他職種に伝えたいメッセージがあれば教えてください。

:患者さんの情報が、急性期病院に入院した時のまま更新されていないことがあります。充実したサマリーでなくてもいいので、ぜひ直近の状況を教えていただきたいですね。また、病状と治療経過だけでなく、急変時はどのような状況だったのか、ご家族にどこまで病状を説明されているのか、ご本人やご家族はどう受け止められているのか…といった周辺情報があると、とても助かります。

:リハビリも同様で、身体機能に関することだけでなく、その方の生活に関連した情報が少しでもあると助かりますね。また急性期病院から転院してきた患者さんで、主となる病名以外の症状・合併症の情報が申し送られないことがあります。どの病名に対して、どんな目的でどのリハビリをするか、という情報をきちんと教えていただければ、スムーズに受け入れることができると思います。

:さらに、急変したときにはどうすればいいか、ご家族に少しでも話をしておいてもらえると大変助かります。というのも、その先の生活のことを考えると、何かあったときの対応はとても大事だからです。ご家族にあらかじめ心構えがあると、当院の医師が説明する際にもスムーズに伝わりますし、いざというときに適切な対応をしていただけるように思います。

細かいことではありますが、どれも患者さんのために必要な情報なので、MSWが急性期病院に電話して確認することもよくあります。こちらから連絡しなくても、あらかじめ情報提供をしていただけたら、とても嬉しいですね。

 

CASE1

Aさん(70代・男性)

・脳卒中を繰り返し、ほぼ寝たきり状態(要介護5)であった。妻の介護のもと、自宅で生活していた。

・呼吸苦で急性期病院に救急搬送され、誤嚥性肺炎と診断される。入院中にCO2ナルコーシスが起こり気管切開。

・状態が落ち着いたので、リハビリと在宅復帰を目指して倉敷スイートホスピタルに転院。

・コミュニケーションはYes/Noが表明できる程度。

事前に奥さんと面接をし、患者さんの状態はもちろん、奥さんの思いなども聞き取り、院内で共有した。また、入院時から退院を見据えて、在宅復帰のための調整を始めた。

できるだけ離床時間を増やし、廃用症候群を予防するためのリハビリを行った。また、奥さんの介助で車椅子に移る際、無理なく介助が行えるよう助言をした。

「できるだけ自分でケアしたい」という奥さんのご希望を叶えるべ く、入院中から奥さんに痰の吸引などの指導を行った。

 

CASE2

Bさん(90代・女性)

・一人暮らし。要支援2と認定され、介護ヘルパーを利用して自宅で生活していた。

・インフルエンザでADLが低下した後に下血の症状が出て、急性期病院に入院。直腸潰瘍と診断され、内視鏡手術で治療した。

・今後の一人暮らしは難しいと判断され、息子さん家族との同居も視野に入れながら、リハビリを目的に倉敷スイートホスピタルに転院。

住み慣れた地域を離れ、ケアマネジャーも変わったため、より丁寧に情報を共有。ご本人の意欲が高まるよう、生活がイメージできるような福祉用具の提案を多職種で行った。

MSWやケアマネジャーと共に家屋調査に出向き、ご本人もご家族も無理なく生活できるような環境の提案を行った。調査を踏まえ、自宅での生活を想定した訓練プログラムを作成。

入院中はトイレとおむつを併用したが、自宅での排泄はどうするか、ご本人・ご家族の希望を聞きながら介助指導を行った。また下血があった際はすぐに相談するよう働きかけた。

 

 

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