適切な療養の場を見つける(後編)

 

 

 

 

 

有床診療所の役割

近年、医療機関の機能分化や集約化は進んでいます。人口の都市への集中も相まって、地域の多様な医療ニーズに応えてきた小規模な病院や有床診療所も減少傾向が続いています。

しかし、地域にコミュニティや生活の基盤があり、移動もままならない高齢者には、病気になっても住み慣れた地域を離れたくないという人は少なくありません。身近な医療機関の信頼している医師のもとで療養したいというニーズは高いのです。そのようななかで、地域の有床診療所の役割が再び見直されています。

地域に密着した有床診療所は、かかりつけ医の機能を持ち、必要に応じて入院治療も行える小規模な(19床以下)医療機関です。かかりつけの患者さんが体調を崩したときの入院管理、急性期病院での治療を終えて自宅に戻るまでの橋渡し的な入院、リハビリが必要な人が住み慣れた地域で在宅復帰を目指すまでの入院など、地域包括ケア病棟と似たような役割を果たしており、過疎化が進む地域の医療を多面的に支えています。

有床診療所への入院事例

①過疎地域で独居の85歳女性、狭心症と高血圧の悪化で急性期病院に入院した。症状は落ち着いたが、すぐに自宅に戻るのは難しいため、地域の診療所に入院。投薬治療と食事管理を続け、落ち着いたら診療所に近い介護付きのサービス付き高齢者向け住宅に入居を希望している。同じ地域の住民が、外来通院時に病棟に面会に来てくれるのを楽しみにしている。

②脳梗塞により軽い麻痺のある81歳男性、食思不振と下痢で衰弱していたため、隣人がかかりつけの診療所に連れてきた。ウイルス性の胃腸炎による脱水症状が見られたので、自宅での療養は難しいと判断してそのまま診療所に入院した。症状が落ち着き、体力が回復したら退院して自宅に戻る予定である。

いま、有床診療所のような細やかに地域ニーズに応えられる医療の担い手の高齢化が進んでいます。これからの時代を支える医学生の中から、様々な分野で研鑽を積んだ後に、このような地域密着型の医療を担う人が出てくることを、地域の先生方も心から待っています。

 

 

 

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