交流ひろば

休学してザンビアへ 村に0から医療を届ける挑戦

秋田大学医学部医学科5年 ザンビア・ブリッジ企画代表 宮地 貴士

私は現在、2年前から取り組んでいる診療所建設活動のため、ザンビア共和国のマケニ村に来ています。「異国の地」でどのような挑戦をしているのか、日本での活動と合わせてご紹介します。

2017年2月、私は所属していた学生団体のプログラムでザンビアに来ました。首都のルサカから車で4時間ほどのところにマケニ村があります。

「村には診療所がないんだ。最寄りの医療施設まで歩いて3時間。出産や重篤な病気のときに大変なんだ。」住民たちの切実な声を受けてザンビア・ブリッジ企画の立ち上げを決意しました。

診療所の総予算は700万円程度です。私たちはザンビア風お好み焼きの販売など、ザンビアの文化という付加価値を発信することで資金調達を開始しました。多くの方からのご支援や財団の協力により目標を達成し、現在、2020年2月の開設を目指して診療所の建設を進めています。建物完成後は、現地政府からスタッフや医療器材・医薬品が供給される予定です。

私たちのゴールは“ハコモノ”を建てることではなく、診療所が運営され、地域住民の健康を支えることです。そのためには、施設の運営はもちろん、より良いサービスを提供するために改善を重ねていく現地の人材が欠かせません。

プロジェクトが始まった当初、私たちはこの村で支援活動をしていたあるNGO職員に責任者を依頼しました。しかし彼は私たちが預けた20万円を紛失し、そのままNGOを辞めてしまったのです。その時、彼やその団体と何の契約も結んでいないことに気付きました。政府とも同様です。建物の完成後は所有権を譲渡し、運営を委託するという“口約束”だけだったのです。覚書(MOU)という単語をそこで初めて知りました。

そもそも責任者を住民ではなく、ネット環境等の理由から、首都に拠点を持つNGO職員にしたのも誤りでした。住民目線ではなく私たちの都合でした。

現在は全ての権限が住民にあります。自分たちのプロジェクトとして愛着と責任を持ってもらい、そして何より、外部の援助に依存しない力強いコミュニティを作るためです。

彼らがオーナーシップを持つことで、自発的にアイデアが生まれるようになりました。診療所の空きスペースを利用した灌漑施設や、診療所に設置されるソーラーパネルによる電気の販売などです。

私は現在、大学を休学しています。ザンビアに来るのは今回が4回目です。ここまで夢中になっているのは、「面白い」からです。0から村の医療を作ることは、非常にやりがいがあり、楽しいです。これからも壁にぶつかることは多々あると思いますが、住民と共に頭を抱え、最善の方策を考えていきたいと思います。

ザンビアの村の生活をYouTubeでも発信中です。自然と共存する様子をぜひご覧ください!

WEBhttps://zambiabridge2017.wixsite.com/zambiabridge-avp
YouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=EFHz974DlTk

私がデイビットさんにインタビューする様子です。彼はマケニ村の小学校で教師をしています。村の生活や教育について聞きました。

 

医学生向けWEBサイト

CATALYST

ドクタラーゼをご覧の皆様、初めまして。

CATALYSTは医学生による、医学生の多様な価値観やキャリアを考えるためのWEBサイトです。

CATALYSTのWEBサイトの具体的なコンテンツとしては、

①一般的な医師の道とは少し異なるキャリアを歩まれ、国内外でご活躍されている医師の先生方のインタビュー記事(カワチ・イチロー先生、河合達郎先生、白井敬祐先生、黒川清先生、林祥史先生、澤憲明先生、光冨徹哉先生、原正彦先生)

②ユニークな活動をしている医学生の体験記(コラム、インタビュー)

③研修病院マッチング情報

があり、月に1~2回、新しい記事を公開しています。インタビューはすべてCATALYSTの運営メンバーが行っています。

このような活動を行うようになった経緯や活動の詳細についてお話をさせてください。

「VUCA(Volatility激動, Uncertainty不確実性, Complexity複雑性, Ambiguity不透明性)」時代と言われる現在、今の環境が永続することは考えにくく、医療の世界も例外ではなく様々な変革が求められている時代だと思います。

我々はこれから医師になる立場として、時代の要請に対応していくために、医師にも多様なキャリアがあることを知っておくことが大切だと感じています。一流への純粋な憧れが学ぶ意欲を高め、偏見や先入観を捨て、新しい価値観を受け入れることにつながり、それが今後の医療界の更なる発展に不可欠だと考えています。

そこで我々は本サイトを通して、医師(医学生)にも多様な道があることや、医学生の段階から様々なことに挑戦できる道があることを共有することで、より多くの新しい価値観と出会い、様々な道に進むきっかけをつくりたいと考えています。

我々のWEBサイトの名前「CATALYST」には、このWEBサイトが私たち医学生にとって様々なメンターや道に出会うための触媒となるという意味が込められています。

CATALYSTは次期世界肺癌学会理事長を務められる光冨徹哉先生を顧問とし、日本人医学生10名程で運営されています。メンバーも多様性に富み、高校から日本の医学科へ進学した人はもちろんのこと、海外の医学科に進学した人、他学部を卒業し医学科に入り直した人など多様な経歴のメンバーで運営しています。

このような多様なメンバーで運営しているCATALYSTをぜひご覧いただき、新しい価値観、道の発見の一助としていただけたらと思います。また我々の活動に対し、ご理解ご協力いただけましたら、幸いに存じます。同じ価値観を共にできるメンバーも随時募集中です。CATALYSTを今後ともよろしくお願い申し上げます。