レジデントロード

【総合診療科】田中 孟先生
(国保旭中央病院 総合診療内科)-(前編)

勝矢先生

田中先生が、規模の大きな病院で総合診療を専門にするに至った経緯を教えてください。

田中(以下、田)):学生時代は外科系志望で、特に整形外科や耳鼻咽喉科に興味がありました。一方で、全身を診て内科的な管理ができる医師になりたいという気持ちもありました。そこで、まずは内科全般を幅広く経験でき、かつ救急にも注力して臨床研修ができる病院を探し、当院を選びました。

――臨床研修中は、どのような経験をされたのですか?

:当院では、1年目の最初の3か月は、総合診療科をはじめ内科各科の患者さんが集まる総合病棟で研修を行います。そこで「病歴の聴取や身体診察を行い、理詰めで考えて診断をつける」という総合診療の考え方に触れ、自分には向いているように感じました。また、患者さん本人だけでなく、ご家族や社会的背景なども含めて、幅広い視野で考えるところも魅力でした。

その後外科系も回り、手を動かす仕事も好きだとは思ったのですが、一生の仕事にするならと考えると、「幅広く」「身体のことだけでなく、家族や社会背景なども総合的に」という気持ちが強かったため、総合診療科を選びました。

――「総合診療」の中でも、急性期病院の総合診療科ではどのような患者さんを診るのでしょうか?

:私たちが管理することが多いのは、脳卒中や尿路感染症などコモンな疾患の方、まだ診断がついていない方、どこの科の担当かを判断するのが難しい方などが挙げられます。また、他科に入院している患者さんの感染症や合併症についてコンサルトを受けることも多いですし、逆に私たちから他科にコンサルトや検査を依頼することもあります。

――診療において、難しさを感じることはありますか?

:各科の専門性が高まり、患者さんも専門医志向が強まっているなかで、ときに立ち位置が難しいと感じることはあります。一方で専門性にとらわれず全体を見渡したり、複数の病態が絡み合っているなかで診療したりするスキルが求められていることも確かだと思います。

――病院総合診療医の専門性は、どのあたりにあるのでしょう?

:病院総合診療医といっても、施設によって担う役割は異なると思いますが、当科の特徴の一つはこまやかな病棟管理にあると思います。例えば病棟の患者さんが発熱したり痛みを訴えたりした場合、その熱や痛みの原因は何かをすぐにワークアップします。何でもかんでも検査するというのではなく、病歴と身体診察に重点を置いてアプローチしていきます。一つひとつの症状や症候に対しその原因を考え、対処していくことが我々の得意としているところだと思います。

――医師の診療の基本となるところですね。

:そう思います。自分の専門分野かどうかで振り分けるのではなく、目の前の患者さんに起きている症状・症候に対して、それは何なのか、なぜ起きているのかを考え、病気を突き止めることが自分にとってはやりがいを感じる部分ですし、どの科に進んでも必要なことなので、総合内科をローテ―トする研修医にもしっかり教えたいと思っているところです。

――地域のプライマリ・ケアに従事する医師との違いはあるのでしょうか?

:病院の総合診療では、診断をつけてから治療・フォローアップまで継続的に関わることが可能であり、自分の診断プロセスに対する最終的な答えを知ることができるのが醍醐味だと感じてきました。しかし今年度から訪問診療にも関わるようになり、患者さんやご家族とじっくり付き合える地域での診療にも魅力を感じています。地域のプライマリ・ケアと病院総合診療は対立軸で語られるべきものではないですし、私自身もこれからのキャリアを病院で働くことに限定する必要はないと思っています。