循環器漬けの半日を -第5回RFCセミナーレポート-
米国内科学会日本支部 Resident Fellow Committee 野中 沙織
米国内科学会(ACP)日本支部の若手医師部会(Resident Fellow Committee)は11月10日(日)に「第5回RFCセミナー」を開催しました。本セミナーは年に2回程度、内科系各分野の専門家を講師としてお招きし、若手医師の臨床能力の向上を図るものです。今回は全国各地から約30名が集い、河村朗夫先生(国際医療福祉大学医学部循環器内科主任教授)、水野篤先生(聖路加国際病院心血管センター医幹)をお招きし、循環器分野に関する見識を深めました。
河村先生からは「私が海外に飛び出していって学んだこと-心臓カテーテル医の武者修行?-」というタイトルで、心臓カテーテル医の道を選択するに至った思い、卵円孔開存の病態や治療、あるいは医学教育の課題感等、幅広い切り口で、臨床医として持つべきマインドをお話しいただきました。気楽に聞いてください、という前置きでしたが、事後のアンケートでは「医学知識だけでなく、人生の先輩としての貴重なお話をたくさん聞くことができ、とても楽しかったです」といった感想が聞かれるなど、自分の将来についての悩みも多い医学生・若手医師にとって心に響く講演となりました。
水野先生のセッションでは「合併症を考慮した心不全治療」と題し、小グループでのディスカッションを交えた症例検討を行いました。初期対応、診断、治療の各ステップでグループからの意見を引き出しつつ、各段階における先生の思考過程を率直にお話しいただきました。良い点を褒め、各自がさらに考えを深められるようなフィードバック法も豊富に散りばめられており、参加者が現場に戻った際に即役立つような、後輩を指導する際のテクニックも得ることができたのではないでしょうか。
午後のセッションである「弾丸診断道場」では、MKSAP*の類題を用いて、皆で実臨床に基づく13題の問題にチャレンジしました。MKSAPは米国臨床医がメインターゲットですが、解説の際に水野先生から日本での実臨床や最新の知見に関するエキスパートコメントを頂くことで、自習では得られない生きた知識を参加者に提供しました。
今後もRFCでは、日本内科学会との合同セッションやACP日本支部総会等の企画を通じて、学生や若手医師のニーズにコミットしていきます。ACP日本支部内でも、様々な医療課題に関するプロジェクトが立ち上がっています。今後もRFCにぜひご注目ください。
*MKSAP…Medical Knowledge Self-Assessment Program
米国内科学会日本支部
米国内科学会日本支部 RFC
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第2回 東大×藝大×医学コラボイベント@お台場 ~Share your Story~
主催:アオハル 共催:医学生団体Tomorrow’s Medicine
飛躍的な医療技術の発展と超高齢社会。新たな医療のあり方が求められつつある現在、TechnologyやScienceとしての狭義の医療を超えた、倫理/道徳観を含むArtがキーだとも言われています。
その他の様々な分野でもArtとの融合には可能性があると言われており、医学においてもそれは同様といえます。そのようななか、今年の夏に始まった東大生、藝大生、医大生のコラボによるプロジェクトの第2回を10月14日に開催しましたので、ここにご報告します。
「The Sound of Music」をテーマにした藝大生によるミュージカルを皮切りにイベントは幕を開けました。午前のプログラムとして、精神科の現役医師から、「日本人のメンタリティ」「自己概念」についてのレクチャーをしていただき、つづく自己分析ワークショップでは、参加者全員が自分自身を食材に例えて自己紹介をし、さらにその食材を使ってどんな料理が作れるかを考え、発表しました。それを通して、各自の個性や専門性を合わせればどのようなことができるかについて考えることができました。自分自身を振り返り、それを表現することで、学んでいることや考えていることの異なる学生同士が互いを知り、理解を深めるような時間になりました。午後には、藝大生によるワークショップが行われました。
アーティスト的な思考や、いかに想像力に制約をかけずにディスカッションするかについてのレクチャーを受けた後、童話「桃太郎」のストーリーを再創造してみる、「未来のオリンピックの競技」を考えてみる、などのワークを通して、論理的思考だけに囚われない直感的思考を体験することができました。さらに、それぞれの分野でご活躍されている先輩方からもお話をしていただき、学生に向けたメッセージも伝えていただきました。最後は懇親会をもって盛況のうちに幕を閉じました。
多くの方にご参加いただきありがとうございました。
東大×藝大×医学のプロジェクトはまだ始まったばかりですが、今後も各分野の学生が個性を発揮しながら協力し合い、新しいことを発見し、挑戦していく場として刺激的に作っていきたいと思っています。そして、参加したことが各自の将来や社会をより良くする一助になることを願っております。
次回の開催でも多くの方のご参加をお待ちしております。共催いたしましたTomorrow’s Medicineでは毎月、医学生企画を行っております。興味がありましたらSNSなどをご確認ください。
東大藝大医学コラボ
Instagram:@to.ge.i.collabo
医学生団体Tomorrow’s Medicine
Twitter:@TmrwMedicine
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