授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】

東北医科薬科大学「僻地・被災地医療体験学習Ⅰ」

この企画では、学生から「面白い」「興味深い」と推薦のあった授業を編集部が取材し、読者の皆さんに紹介します!

地域の中核病院での医療を体験

この授業は2年生の必修で、7~8月に行われます。学生は5~6人のグループに分かれ、東北6県の中核病院(19病院)で1泊2日の実習を行います。実習では外来や検査、救急など、医療の一連の流れを体験します。

実際に働く現場のリアリティを体感できる

学生は事前学習として、病院の特徴や医療圏の人口、高齢化率などを調べてから実習に臨みます。特に奨学生は将来働く県で実習ができるため、データだけではわからない現場のリアリティを体感することができます。

東北で働く意義や使命感を再確認できる

地域に赴くと、住民と医療職の関係や、多職種の関わりといった人と人とのつながりも見えてきます。さらに、医学生を心待ちにしている人が大勢いることも実感でき、東北で働く意義や使命感を再確認できるでしょう。

 

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(写真左)院内を見学する学生たち。
(写真中央)南三陸町の仮設住宅を訪れました。
(写真右)皆で記念写真。絆も深まります。

 

授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】

INTERVIEW 授業について先生にインタビュー

将来働くことになる地域で、つながりを作ることができる

本学は、「地域医療を支える医師を育成する」という使命のもと、主に将来、東北で働いてくれることが期待される医学生を積極的に受け入れています。東北各県の奨学生として、卒業後はその県で働くことになる学生が、1学年のうち半数ほど在籍しています。

この授業では、奨学生はそれぞれ将来自分が働く県の病院へ実習に行けるようになっており、それ以外の学生の実習先は、学生の希望を聞きながら、大学が割り振っています。実習では、自分が働くことになる地域・医療圏の特徴や、中核病院での医師の具体的な業務、他職種とどのように協働しているのかなどを肌で感じることができます。

さらに本学のカリキュラムの特色として、6年間一貫して同じ地域に関われることが挙げられます。学生はこの実習の後、2年次後期の「介護・在宅医療体験学習」という実習で、同じ地域の介護施設で介護・福祉を体験します。3年次では、同じ地域のクリニックが担っている医療(在宅医療など)を体験します。このように、2~3年次に、その地域の医療・介護・福祉の現状と課題を全体的に捉えたうえで、4~5年次の大学病院での臨床実習を経て、6年次に再び同じ地域に出向き、地域滞在の参加型臨床実習を行います。

このように同じ地域に行き続けることで、学生は地域とのつながりを作ることができます。臨床研修やその後の働き方のイメージもわきますし、将来、人事でその地域に行くことになったときにも、基幹病院とクリニックの両方を知っていることは強みになります。受け入れる側の先生方も、将来地域で働いてくれる後輩たちを育てるということで、熱心に関わってくださっていますので、非常に中身の濃い実習になっていると思います。

古川 勝敏先生
東北医科薬科大学医学部 地域医療学研究室 教授

 

 

 

 

住友 和弘先生
東北医科薬科大学医学部 地域医療学研究室 准教授

 

 

 

 

大野 勲先生
東北医科薬科大学 医学教育推進センター 教授

 

 

 

学生からの声

実習生として歓迎していただけました

4年 横瀬 直希
秋田県の平鹿総合病院で実習しました。私は秋田出身ではないのですが、快く受け入れていただき、歓迎会では秋田の良いところや、秋田の医療の問題について聴くことができました。この後再び同じ地域で実習を行う予定なので、この経験が役立つと思います。

地域の方との心の距離が縮まりました

4年 松川 洸子
私はみやぎ県南中核病院で実習しました。事前学習で特産品などを調べていったことで、地域の方と交流する際、心の距離が縮まったように思います。地域の方の実際の声を聴き、ただ寄り添うだけでなく専門的に診療できる医師が求められていると知りました。

先進的なモデルを見ることができました

4年 諸橋 舞
救急医療が有名な八戸市立市民病院で実習しました。ドクターカーに乗せてもらい、医師がファーストタッチで診て、救急車に患者さんを乗せて戻ってくるまでの一連の流れを見ることができました。先進的なモデルを実際に見られて、良い経験になりました。