10年目のカルテ

糖尿病専門のセンターで
あらゆる合併症を総合的に診ていく

【糖尿病・代謝内科】石澤 香野医師
(東京女子医科大学糖尿病センター)-(前編)

患者さんとの対話を重視

10年目のカルテ

――糖尿病センターの糖尿病・代謝内科を目指した経緯を教えて下さい。

石澤(以下、石):人と話をするのが好きだったので、生活習慣病を専門としている糖尿病・代謝内科か、精神科で迷いましたが、内科的なことを勉強したほうがいいかなと思って糖尿病・代謝内科を選びました。

――糖尿病・代謝内科は患者さんとのコミュニケーションが多いのでしょうか?

石:そうですね。薬やインスリンの量をこちらで調節するだけでなく、その人の生活や人生を理解しないと、生活習慣の改善やセルフケアへの適切な介入ができないので、心配事などもしっかり聞き、相談しながら目標を決めています。

1~2年目の頃は、「じゃあ食事療法で1600キロカロリーにしましょう」というようなことをポンポン言っていたのですが、生活習慣の改善って患者さんにとってそんなに単純なことではないんですよね。「それってお茶碗何個分ですか」とか「どういう食事をすればいいんですか」とか「飲み会の時はインスリンはどうしたらいいですか」とか、一人ひとりの生活スタイルの中で具体的にどうすればいいのかを提示できないと、患者さんの信頼を得られません。だから、逆に患者さんから「こうしたらうまくいったよ」という経験談を聞いたりすることは非常に勉強になりました。そういった意味でも、患者さんとの対話がとても大事だと思います。

――心療内科に国内留学されていますが、糖尿病・代謝内科との接点はどの辺でしょうか?

石:例えば患者さんの中には、しぶしぶ通院しているけれども実際には生活スタイルを変えたくないという方も多くいらっしゃいます。仕事の方が優先順位が高かったり、決まった生活様式を崩したくなかったり…。そこで、認知行動療法的なアプローチが必要になることも多いんです。行動変容ができているかどうかを確認するプロセスが治療の上で非常に重要になってくるので、行動科学や心理学の知識が役立つんですね。国内外の臨床でもそういったアプローチがたくさんされています。

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