10年目のカルテ

患者である強みを活かし
1型糖尿病の診療をより良くしていきたい

【糖尿病・代謝内科 番外編】黒田 暁生医師
(徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター)-(前編)

医師でもあり、1型糖尿病の患者でもある、17年目の先生です。

一患者であることの強み

10年目のカルテ

――ご自身が子どもの頃から1型糖尿病と付き合ってこられていますが、いつから先頭に立って1型糖尿病の臨床を変えていこうと思われたんですか?

黒田(以下、黒):糖尿病に関わりたいと思って医師になったのですが、実際に臨床に出てから、引っ張って行かなければという気持ちが出てきました。学生時代は、進路よりも自分の病状の方が心配でしたね。大学の授業で合併症について学んだこともあり、こんな状態で僕は50歳まで生きられるだろうか、と。

――どんなきっかけがあったのでしょうか?

黒:診療に携わるようになってみてわかったのは、まだまだ1型糖尿病の臨床をちゃんと診られる先生が少ないということ。病態を研究している先生はいても、どのくらい食べないと低血糖で倒れるとか、インスリンをどれぐらい打たないと高血糖になってしまうとか、そういう血糖コントロールの方法に詳しい先生はほとんどいなかったんです。でも僕は自分が1型糖尿病だから経験で知っていることがたくさんあって、それを教えたら劇的に良くなった患者さんが何人もいました。一患者であることはこんなにアドバンテージになるのかと驚いたのと同時に、僕の持っているノウハウをもっと広めていかなければと思うようになったんです。

10年目のカルテ

1型糖尿病とは?

糖尿病は、血糖値を下げる作用を持つインスリンが適切に働いていないことによって起こる疾患です。その原因から大きく2つに分けられており、膵臓のβ細胞が破壊されてしまうことによりインスリン分泌がほとんどできなくなる自己免疫疾患を1型糖尿病、インスリン分泌が相対的に低下、あるいはインスリン感受性が低下することで高血糖を呈する疾患を2型糖尿病と呼んでいます。
1型糖尿病は20歳未満で発症することが多く、インスリン注射による適切な血糖コントロールができれば、健康な生活を送り、寿命を全うすることができます。


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