日本医師会医学図書館-(前編)

約89,000冊の蔵書、約1,500タイトルの雑誌を利用できる図書館があります。

日本医師会ならではの蔵書収集

図書館サービス都道府県ブロック別

日本医師会医学図書館は、東京都文京区にある日本医師会館にあります。地下1階~地下2階のフロアを使用したスペースで、約8万9千冊の蔵書、約1500タイトルの国内外の雑誌を取り揃えています。

創立は1949年、その後1969年に「医史学」「医政」「医療経済」の3テーマが蔵書収集方針として定められ、これらの書籍が特に充実している点が、医師会の図書館ならではの特色と言えます。

また雑誌については、多くの先生に幅広く利用していただきたいという考えのもと、特定の分野や診療科に特化したものというよりは、主にコアジャーナルを中心に収集しているそうです。1949年当初から雑誌のバックナンバーはすべて保存してあり、厚生労働省の報告書や白書も充実しています。

郵送やインターネットで利用申込ができる

「図書館は利用したいけど、東京にあっても行けない…」と思う方も少なくないかと思いますが、実はこの図書館、来館者はほとんどいません。というのも、図書館に足を運ばなくても、郵送やインターネットを通じたサービス申込ができるようになっているからです。平成23年度の実績では、利用件数3万5千747件のうち、44.4%が郵送・ファックス等、46.9%がインターネットによる申込となっています。では、具体的にどのようなサービスが行われているのでしょうか。

日本医師会医学図書館-(後編)

遠隔地からでも大学図書館と同等の情報を入手できるサービスです

必要な資料のコピーが郵送で自宅に届く

最も利用されているのが「文献複写サービス」です。これは、希望した雑誌や書籍のコピーを郵送してもらえるサービスで、蔵書はもちろんのこと、図書館の相互利用ネットワークを通じて他の図書館からコピーの取り寄せも行えます。複写サービス利用者の89.6%が希望の資料を手に入れることができており、「大学図書館で手に入らなかった資料が見つかった」という声も聞かれます。

その他、希望した雑誌の最新号の目次コピーが定期的に届く「コンテンツ・サービス」、特定のテーマに沿った文献をリスト化してくれる「文献調査サービス」、検索などの利用相談に応じる「レファレンス・サービス」、宅配便での貸出も可能な「館外貸出サービス」があります。いずれも来館しなくても利用できるサービスなので、全国各地から申込が来ています。

都道府県ブロック別
(写真左)資料のコピーはこのような形で手元に届きます。
(写真右上)館内にある検索システム。文献のデータベース検索ができます。

若い方にも活用してほしい

石井正三常任理事

この医学図書館のサービスについて、石井正三常任理事にお話を伺いました。

「大学にも図書館はありますが、卒業した場合は使えないか、あるいは直接大学に足を運ばなければサービスを受けられない場合がほとんどです。当館を利用する方は、就職して大学が遠くなってしまった方や、大学から離れた場所で開業した方などが多いようですが、大学にいた頃と同等の情報を入手することができると好評をいただいています。

また、医師会がこれまで出してきた『日医ニュース』『日本医師会雑誌』などの情報誌・機関誌などは、原本の紙が劣化しても内容を参照できるように、随時マイクロフィルムに保存する事業も行っています。こういった過去のデータを保存していくのも、医師会の図書館である当館の使命のひとつだと思います。

今は一般にもインターネットが普及し、自分で文献や情報を検索するという若い方も多いかもしれませんが、まとまった情報を得たいという場合には、当館はとても便利だと思います。いろいろな方に利用してもらいたいと思います。」

日本医師会医学図書館は、日本医師会の会員になれば誰でも利用できます。研修医の場合、日本医師会臨床研修医支援ネットワークに加入することで、会員と同じように利用することができます。医学生のみなさんも、今後ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。


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