ライフイベントと仕事・家庭の両立

ここでは、結婚・出産・育児といったライフイベントを選択した際、どのような制度を利用できるのかについて、例を見ていきます。

参考:「コロコニガイドブック〜仕事と育児・介護の両立のために〜」秋田大学男女共同参画推進室

ライフイベントが鍵になる

医師として働き続けることを考えるとき、特に女子医学生にとっては、結婚・出産・育児といったライフイベントが鍵になるでしょう。なぜなら、現状ではこれらのライフイベントが転機となり「仕事と家庭の両立」を迫られる場合が多いからです。特に「家事や育児は女性がやるべきだ」と感じている女性にとっては、「そうは言っても、仕事と家庭の両立なんて自分にできるんだろうか…」という心配は尽きないでしょう。そして両立への負担感のために、今後どちらかを諦めてしまうケースが生じる可能性もないとは言い切れません。

それに対し男子医学生は、結婚や出産・育児などについて、まだ自分の身近に起こることとしてイメージできない人の方が多いのではないでしょうか。しかしこの問題は、女性医師に限らず現代の多くの女性に起こり得ることです。自分のパートナーになる人がどんな職業であれ直面しうる問題なのです。そして、これから同僚として一緒に働くことになる女性医師にとっても、非常に切実な問題なのです。

ライフイベントを機に、仕事と家庭内での「ケア」の負担に耐えられなくなった女性医師が職場を去ってしまうことは、医師の減少を招き、ひいては医療現場の労働環境の悪化につながってしまう可能性があります。そうならないためにも、結婚・出産・育児といったライフイベントに関するサポートが、特に重要なのです。

「うまくいかないこと」も多い

みなさんは、卒業後はしばらく「研修医」として様々なことを学んでいきます。すぐできることばかりではないでしょうし、思うようにいかない場面もあるでしょう。そして、ちょうどそのぐらいの時期に結婚・出産・育児といったライフイベントが重なる場合が多いため、「仕事も家庭もしっかりやらなければ…」といった焦りが生まれるのも無理はありません。

けれども特に育児においては、自分の努力だけではどうにもならないことが数多くあります。栄養面や衛生面にどんなに気を配っても子どもは風邪をひきますし、子どものために仕事を休まざるを得ない状況になることも少なくありません。また核家族化が進んだ現在では、必ずしも育児に関して両親のサポートが受けられるとは限りません。そんな状況で、「周りに頼らずひとりでがんばらなければ…」と肩肘を張っていると、無理がたたって健康を害してしまったり、仕事を続けられなくなってしまう可能性があるのです。

バックアップの制度を知っておこう

最近では、ライフイベントに関して、応援の手がどんどん差し伸べられています。上の図は秋田大学の制度を基にした一例ですが、特に出産・育児に対しては様々なバックアップの制度が整えられていることがわかるかと思います。しかも、育児休暇や短時間勤務、子の看護休暇といった育児に関する制度や、介護に関する制度は、女性だけでなく男性も利用できるように整えられてきているのです。

自分、あるいは自分の配偶者が出産・育児あるいは介護という局面に立ったときのために、利用できる制度を今のうちから知っておきましょう。法律で定められている最低限の制度に加えて、地域や大学によって提供される制度は違いますので、自分の地域・大学ではどのような制度があるのかを調べてみるのがよいでしょう。

これからのライフイベントを考えるとき、制度を知っていることは大きな強みになります。家庭内の「ケア」のすべてを女性が背負うのではなく、パートナーと相談しながら分担し、周囲の協力や利用できる制度を最大限に活用することが、仕事を続けていくためのポイントです。

監修:蓮沼 直子先生
秋田大学総合地域医療推進学講座 助教
1994年秋田大学医学部卒業。1994年秋田大学医学部皮膚科に入局、1997年よりNational Institutes of Health, NCI (米国国立衛生研究所)にfellowとして留学。出産・育児を経て、2003年に東北大学医学部皮膚科、2004年秋田大学医学部感覚器学講座皮膚科学・形成外科学分野。2009年より現職。

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