医学生×社会人 同世代のリアリティー

女性のキャリア・ライフイベント 編-(前編)

医学部にいると、なかなか同世代の他分野の人たちとの交流が持てないと言われます。そこでこのコーナーでは、医学生が別の世界で生きる同世代の「リアリティー」を探ります。
今回は「女性のキャリア・ライフイベント」をテーマに、未婚、既婚、子どものいる社会人女性3名(社会人A・B・C)と、女子医学生3名(医学生D・E・F)の6名で女子座談会を行いました。

今回のテーマは『女性のキャリア・ライフイベント』

一般の社会人女性はどんな仕事をしながら、いつ結婚・出産するのでしょうか?
抱えている悩みや、子育てと仕事の両立への不安など、27~28歳の社会人女性の生の声を聞いてみました。

卒業してからのキャリアと結婚のタイミング

医D:みなさん大学を卒業して6年目くらいとお聞きしたのですが、どんなお仕事をされているんですか?

社A:私は大学を卒業してからしばらく大手メーカーの会社員だったんですけど、今は退職して、大学の事務のアルバイトと日本語講師という二足のわらじでやっています。

社B:私はウエディングの会社に就職して、ウエディングプランナーをしていました。今は立ち上がったばかりの子会社で、ウエディング関係のウェブシステム開発をしています。

社C:私は社会人というのとは少し違うかもしれませんが、大学院の博士課程で日本語の文法を研究中です。

医E:みなさん様々なお仕事をされているんですね。ご結婚はされているんですか?

社C:私は一回結婚して子どもを産んでいるんですけど、その後離婚して、今はシングルマザーです。3歳半の娘がいます。

社A:私は、社会人2年目のとき、大学時代から付き合っていた相手と結婚しました。

社B:私は独身です。まだ結婚していないのは、仕事が楽しいからというのが大きいかな。

医F:私たちは医学部の5年生なので、年齢的には社会人1年目と同じなんですが、「社会に出る」とか「結婚する」とかが全然リアルに考えられないんですよね。私たちぐらいの年齢のときは、どんなふうに考えていましたか?

社B:入社当時からとても仕事が好きだったから、「結婚・出産はまあそのうち…」みたいなゆるい考え方でいましたね。結構長く付き合っていた彼がいたので、その人とそのうち結婚すればいいや、ぐらいの甘い感じで考えていました。その結果、まだ独身ですけどね(苦笑)。

社A:私は就職して1年目は忙しすぎて、結婚は現実的じゃないかもしれないと思っていました。でも結婚したいという気持ちは強かったので、最終的には婚姻届に無理やりハンコを押させた感じになりました(笑)。

医D:すごい、積極的ですね!

社C:私が結婚したのは25歳のときでした。文学部系の大学院は、博士課程を卒業するまで平均7~8年はかかるし、就職も激戦なので、結婚・出産も早いか遅いかのどっちかに分かれることが多いんです。私はたまたま修士1年の秋に付き合い始めた人が13歳年上だったこともあって、早く結婚・出産した方だと思います。

医E:医学部も、早いか遅いかに二極化するっていう話を聞きますね。私たちも、初期研修が終わるのが26歳なので、その時に結婚第一波は終わるみたいです。そこで独身だと「行き遅れ」って言われるとか…(苦笑)。

社B:ひどい!(笑)

社会人もそんなに出会いがあるわけじゃない

医F:私たちの業界だと毎日病院にいるので、全然出会いがないんですよね。社会人は出会いがあるものですか?

社B:うーん、なかなかないですね。結婚式場で働いていると、出会う男の人ってだいたい新郎様ですし(笑)。病院ほど特殊な環境じゃなくても、一般企業に勤めているからといって、安定して出会いがあるかというと、別にそういうわけではない気がしますね。

医D:お客さんは難しいとしても、社内恋愛はありそうな気がするんですが。

社B:相手が一緒に仕事をしている人だと、いい話も悪い話も聞こえてくるので、気になるだろうなと思います。どちらかが仕事でミスをしたとき、家に帰っても「ここはこうすればよかったんじゃない?」とミスについて冷静に諭されるのはちょっと嫌だなあ。

医E:やっぱり、恋人には味方になってほしいですよね。

社C:逆に医学生のみなさんは、付き合ったり結婚するなら、同じ医師がいいですか?

医D:ずっと働き続けたいと思っているので、仕事を理解してくれる人がいいなとは思っています。医師は働き方が特殊なので、それを分かってくれる人となると、結局医師同士がベストなのかなあとは考えますね。

同世代のリアリティ

医学生×社会人 同世代のリアリティー

女性のキャリア・ライフイベント 編-(後編)

結婚相手に求める最低限の条件

医F:社会人のみなさんは、結婚相手に求める最低限の条件とかありますか?

社A:当時はあまり何も考えてなかったなあ。もう少し年をとってから結婚してたら、全然違う考え方で相手を選んでたんだろうなと思う。「好きだったから結婚した」って感じでした。

社B:年齢を重ねるほどに、結婚相手に求める条件って厳しくなるかも…。まず仕事が面白いから、仕事することを許してくれる人じゃないと絶対無理。そういう意味では、条件が増えていって、どんどん追い詰められていく感じがします。

計画通りには難しいけど…子どもを産むタイミング

医D:結婚のタイミングもそうですが、出産のタイミングについてはどう考えていますか?

社A:私は今子どもを授かるために「妊活」をしている最中です。

医E:妊娠したいなと思っても、そんなに計画的にできるわけでもないですよね。旦那さんは協力的ですか?

社A:実は夫が年の半分以上海外勤務なので、あまりチャンスがないのですが、子どもが欲しいというのは夫婦共通の目的になっています。むしろ夫の方がプレッシャーを感じているところもあるみたいで、妊活について勉強してくれています。

社B:妊活といえば、うちの会社に何でも赤裸々に話してくれる上司がいるんですけど、その人が「本気で子どもを作ろうと思ったときの奥さんの色気がヤバいんだよ」って言ってました(笑)。子作りのタイミングって、顔つきなんかも変わってくるんですかねえ。

一同:えー(笑)。

社A:でも、夫婦でちゃんと計画して話し合いながら子作りに臨むことって大事だよね。後から「子どもできたの!?」って驚かれても困るし。子作りから協力し合えば、その後の育児のことについてもうまく相談し合えるんじゃないかと思います。

仕事と家庭の両立 周囲の理解を得るには?

医E:子どもを産んだ後は、仕事と家庭の両立が課題ですよね。

社C:うん、でも周りの話をいろいろ聞いていると、職場や環境によっては、うまく仕事と子育ての両立ができるところも増えているみたいですね。

社B:うちの会社は、社員が11人しかいない中ママが3人いるので、働けないことはないと思うけれど、やっぱりいろいろな部分で歪みが生じてしまっていますね…。周りがみんながんばってカバーしようとしてるからこそ、逆にママたち本人が申し訳なさそうにしているんですよね。そういう姿を見ていると、キャリアの真っ只中で出産するのは、覚悟がいるなと思います。

医F:難しいですね…。医師も、若いうちから子どもがいて当直ができないと、上司から責められたりするらしいって聞いたことがあります。

医E:Cさんは、子育てと仕事を両立する上でどんな工夫をしてるんですか?

社C:私は実家も遠いし、夫もいないので、夜に研究会などがあったりすると、娘を預けるところがないんです。そういうときは、極力娘を仕事場に連れて行くようにしています。そうすると周りの人も娘の顔と名前を覚えてくれて、普段から気にしてくれるようになるんですよね。ミーティング中に保育園から「お熱です」と電話がかかってきても、「早く行ってあげて」と周りも気を回してくれたり、逆に休日などに変則的に出なければならないときも、娘の預け先があるかどうかを気遣ってくれたりするようになりました。

医F:やっぱり娘さんの顔が見えているのといないのとでは、周囲の対応も違うんですね。

どんな相手を選んでも、不満がないことなんてない

医D:これからのキャリアや家庭のプランって考えてますか?

社A:うちは今後子どもができたら、海外勤務のある夫に合わせて自分の仕事を変えなきゃなと。子どもができたら家族で一緒に生活したいと思っているから、うまく夫の赴任先で人脈を作るなりして、子育てしながら仕事もしたいですね。生活は一変するだろうし大変だとは思うけれど、そういうものかな、と。

社B:私は、年齢を重ねるごとに結婚しにくくなってきてるのは確かだけど、周りの話を聞いてると「何も考えずに結婚しなくてよかった」って思えるのも事実なんですよね。それこそ、「結婚するなんてめんどくさい!」ってくらいまで気持ちが振り切れた今でも、それでよかったと思えているから、このままがんばろうかなと。

社C:何も考えずに結婚した人の中にも成功する人と失敗する人がいるだろうし、すごく考えて結婚したとしても、成功する人と失敗する人がいるんだろうね。何の不満もない結婚なんて、絶対ないんだろうと思うんですよ。どんな相手を選んでも。

社B:確かに。それは結婚だけじゃなくて、仕事にも同じことが言えるかもしれないですね。不満と捉えるより、「こんなもんか」と楽観的に捉えた方がいいんじゃないかなと思って、日々がんばろうと思います。

一同:そうですね!今日はありがとうございました。