10年目のカルテ

難しい分野だからこそ臨床と研究の橋渡しとなる
自分らしい仕事ができる

【呼吸器内科】光石 陽一郎医師
(東北大学病院 呼吸器内科)-(前編)

呼吸器内科の魅力

10年目のカルテ

――呼吸器を専門にしようと思ったのはいつ頃ですか?

光石(以下、光):初期研修の2年目くらいから呼吸器に興味はありました。生命に直結する分野に携わりたいという気持ちから、循環器と呼吸器で迷ったのですが、がんが診られる科がいいなと思い、呼吸器に絞りました。

呼吸器内科が診る疾患は治らないものが多く、看取るケースも少なくありません。また肺は、たくさんの細胞からできている複雑な臓器であり、疾患も多様で、画期的な治療法がないこともよくあります。そんな中でも、新旧の技術や治療を組み合わせて、なんとかしていかなければならない。そういう難しい分野だからこそ、何かできることがあるのではないかと感じたんです。

臨床だけでなく研究も

――教育に定評のある病院で研修を受けてきたにもかかわらず、なぜそのまま臨床でキャリアを積む道を選ばず、大学に戻られたのでしょうか。

光:教育に熱心な病院で学ばせていただいたこともあって、臨床の優れた先生方ともたくさん出会いました。けれど臨床の最前線で、自分らしく、かつ新しいことをするのはとても難しいなという実感がありました。一方、サイエンスのテクノロジーはものすごい勢いで発展しており、さらに科学的な知見を臨床に応用していく報告がどんどん増えていました。こういった状況を見て、やっぱり臨床のエキスパートというだけでは何かが足りないのではないか、自分はもうひとつ、サイエンスという武器を持つべきなのではないかと考えたんです。

振り返ってみると、臨床と基礎研究の両方をやりたいという気持ちは、学生時代からあったように思います。というのも、大学3年の時に3~4か月、ひたすら基礎研究の実験をやる機会があったんですが、そこで出会った先生から「サイエンティフィック・フィジシャンになりなさい」というお言葉をいただいたことがあって。つまり、臨床医も基礎研究者ももちろん必要だけれど、両方の良さをわかりながら、患者にしっかり還元できる医師になれということです。この言葉がずっと頭に残っていました。

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