10年目のカルテ

多様な患者さんを
トータルな視点で診察したい

【呼吸器内科】武岡 佐和医師
(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター
 肺腫瘍内科)-(前編)

呼吸器内科に惹かれて

10年目のカルテ

――初期研修が始まってすぐに、呼吸器内科に決めたのですか?

武岡(以下、武):いえ、はじめは糖尿病内科に入ろうとしていました。呼吸器内科に興味はあったけれど、将来の結婚や出産を考えたら、もっと続けやすい科のほうがいいかなと。そこで卒後3年目には糖尿病内科を選んだのですが、やはり呼吸器内科への思いが捨てきれませんでした。悩んだ末に、当時糖尿病内科の部長だった女性の先生に相談したところ、「私も本当は循環器に興味があったんだけれど、将来を考えて糖尿病内科に入ったの。そんなに呼吸器に思いがあるなら、やりたいことをやるべきよ!」って、背中を押してくださったんです。呼吸器内科も人手が不足していたので、歓迎していただきました。

ーーそこまで呼吸器内科に惹かれたのはなぜですか?

武:初期研修1年目の4月に呼吸器内科を回ったとき、肺がんの患者さんを担当する機会があり、1回目の抗がん剤治療がすごくよく効いたのを見て感動したんです。けれどその患者さんは、2回目の抗がん剤治療の前に状態が悪くなって、亡くなってしまいました。治療の醍醐味と無力さを同時に味わったことが、呼吸器内科に興味を持ったきっかけだと思います。

ーー呼吸器内科では、どのような疾患を診るのですか?

武:多種多様な肺炎・結核などの感染症、肺がん、気管支喘息、COPD、他疾患をベースにした慢性呼吸不全など、幅広い疾患を経験しました。挿管して人工呼吸器をつけて…といったスピーディーな処置が求められる場面もあれば、がんの終末期や、高齢者の誤嚥性肺炎など、看取りまで行う場面もあります。その両方を管理できるところにやりがいを感じました。

ーーその後も医局に所属せず、市中病院を回られていますね。

武:私は、専門を究めるというよりは、急性期治療もがん治療も、看取りも、気管支喘息やCOPDの管理も、とにかくいろいろなものを診られるようになりたいと思っていたんです。そう考えたら、症例が多様で豊富な市中病院で働きたいなと。3年間でひと通りの症例を診た後、今度はどうしようかと思っていたときに、気管支喘息やCOPDに力を入れている先生がいらっしゃるという別の市民病院を紹介してもらい、じゃあ今度はそこで重点的に勉強してみようと、病院を移りました。

ただ、やっぱり市中病院ってかなり忙しいんです。呼吸が不安定な患者さんが多いから、病棟から呼ばれる回数も多いし、救急対応もしなければならない。体に負担がかかったのか流産も経験しました。「じっくりと腰を据えて患者さんを診る機会も必要かもしれない」と考えていたとき、専門病院である今の病院に声をかけてもらいました。

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