第5回大学では教えてくれないウィメンズヘルスWS

日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会
ジェネラリスト全国80大学行脚プロジェクト

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11月30日、12月1日の2日間、「第5回 大学では教えてくれないウィメンズ・ヘルス ワークショップ(WS)」を九州大学にて開催いたしました。将来医療者として働く上で、「女性の健康」を扱うことは避けて通れません。このWSは「興味はあるけど、どう勉強していいのかわからない」という人に、現場に出る前にしっかりと学んでもらうために設計されています。

WSでは大きく3つのテーマについて学んでいきます。1つ目のテーマは、思春期「ライフスキル、ピアプレッシャーに打ち勝つ」。このテーマをさらに「月経」「STD」「若年妊娠と避妊」といったコマに分け、それぞれレクチャーやロールプレイを交えながら進めていきます。特にロールプレイでは、医師としてsexual historyを取る難しさと、患者として聞かれる恥ずかしさを体感し、デリカシーをもって対応する重要性について体感することができました。また、緊急避妊法を求めてきた患者への対応のロールプレイでは、レクチャーにあった「医療機関に来た時が性行動を考えさせるchance」を意識して、とても難しいシチュエーションでしたが、緊急避妊法についての話から普段の避妊法のアドバイスまでをいかに行うか、試行錯誤しました。

2つ目のテーマは、更年期+ヘルスメンテナンス「更年期を見分けよう」です。更年期の定義と、更年期障害といった疾患について深く学ぶとともに、スクリーニングや予防接種などの予防方法について学んでいきました。また、参加者自身のパソコンやスマートフォンから、アプリ「ePSS」を使用し、米国で用いられる「USPSTF」で推奨される予防医療を、色々な対象年齢を考えながら検索して、検索ツールの有用性を実感しました。

3つ目のテーマは、性成熟期「よりよい妊娠・子育てのサポート」。「出産前のケア」、「妊娠中のケア」「出産後のケア」という出産に関わる3つの段階で、医療者として行えることを学んでいきました。産婦人科医でなくても、気を付けられることの多さに皆驚いていました。

全てのレクチャーで「一目で分かる◯◯」というA4~A3の見開きプリントがあり、WSが終わった後もウィメンズヘルスの流れがいつでも復習できる、素晴らしい資料を用意していただきました。学年や学部、将来の志望も様々な参加者でしたが、皆がウィメンズヘルスについて考え、今後に活かしていけるきっかけとなる素晴らしい勉強会でした。今回参加できなかった方は、ぜひ次回の機会にご参加ください!多くの学生・研修医がウィメンズヘルスについて考える機会に恵まれることを願っています。

医学生・日本医師会役員交流会が開催されました!

日本医師会(協力・取材:ドクタラーゼ編集部)

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昨年12月25日、まさにクリスマスの真っ只中。日本全国の医学生が東京の駒込にある日本医師会館に集結し、医療に関する様々なテーマについて、日本医師会役員と熱い議論を交わしました。

これは日本医師会として初めて企画・主催した、役員と医学生の交流会で、北は北海道から南は佐賀まで、全国各地から計31名の学生が集まりました。

交流会ではまず日本医師会の今村聡副会長が横倉義武会長の挨拶を代読し、日本医師会の紹介と交流会の狙いを説明しました。

その後、学生は関心のあるテーマごとに分かれてディスカッションを行いました。議論のテーマは「今後の医療のあり方と医師養成」「在宅医療・地域医療」「救急医療・災害医療と医療の国際化」「男女共同参画と総合診療専門医」「地域医療・チーム医療・多職種連携」の5つです。各班のテーブルにはそのテーマを担当する役員が同席して、時には学生の意見をファシリテートし、時には自ら議論に加わりながら、白熱した時間を過ごしました。外出から戻られた横倉会長も作業中の学生に声をかけていました。

ディスカッションでは「今のOSCEは形骸化している。学生のベースラインを底上げする実習の設計が必要」「多職種連携を推進する授業を行うとしても、現状の医学部カリキュラムでは他の医療系学部の学生と比べて現場に即した知識が不足しており、議論にならないのではないか」「在宅医の立場をもっと明確に打ち出して、学生が不安なく志望できるようにしてほしい」といった、学生ならではの率直な意見が飛び出しました。学生の活発な議論に応じて、医師会役員も医療政策を提言する立場から「今の病院実習よりもさらに侵襲的な手技を行える、『学生医』の検討を進めている」「在宅医療を推し進めるためにも、地域包括ケアの考え方も必要になる」といった話をしていました。

ディスカッションが終了した後には、各班で議論の要旨をまとめ、皆の前で発表と質疑応答を行いました。役員からは「学生の発表する真剣な眼差しに刺激をもらった。学生と医師会が力を合わせて、よりよい医療を目指していきたい」という感想が出ました。

日本医師会は今後も様々な形で、医学生の皆さんから忌憚のない意見を求めています。

ドクタラーゼ編集部も、皆さんが今まさに知りたいと思っている情報をお届けできるよう、今まで以上に頑張ります。本年もどうぞよろしくお願いいたします!


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