FACE to FACE

interviewee 香田 将英 × interviewer 小池 研太朗

各方面で活躍する医学生の素顔を、 同じ医学生のインタビュアーが描き出します。

小池(以下、小):香田さんは様々な活動の中心にいる「すごい人」というイメージがありますが、入学した頃から色々なことに関わっていたんですか?

香田(以下、香):いえ、きっかけは3年生の夏にありました。その頃、非常にモヤモヤしていました。というのも、低学年の授業は座学ばかりで、将来のイメージが膨らまず、かといって自分から臨床現場に出ていく勇気も行動力もありませんでした。それじゃダメだと思って、夏に思い切って関東の病院を見学に行くことにしたんです。そのとき、関東の病院のホームページを巡っていたら、偶然見つけたのが「家庭医療学夏期セミナー」でした。参加してみると、全国から色々な想いを持った学生が集まり、臨床で働いている先生の話も聞けて、世界が拡がったと感じました。この会への参加以来、長期休みのたびに病院見学に行ったり、週末はイベントや勉強会があれば参加する、という生活になりました。

小:思い切って飛び込んでいったことが転機となったんですね。香田さんが、普段から意識していることは何かありますか?

香:行動する際に、3つの大事なことをいつも胸に留めておくようにしています。1つ目は、「箱から出る」ということ。今までの経験や価値観から作られた「箱」の中で生きるのではなく、あえてその外に出ることで、新しい世界との出会いがあります。2つ目は、「奈良の鹿」。これは、今の自分「なら」できること、今の自分に「しか」できないことはなんだろうと自分に問いかけるためのキーワードです。常に「奈良の鹿」を考えていれば、今自分がすべきことの優先順位が見えてくるはずです。3つ目は、「どうせやるなら、死ぬ気でやろう」ということ。これは中高のバスケ部で言われた言葉なんですけど、今の自分の行動理念になっています。悩むことやモヤモヤすることがあっても、とことん向き合っていけば学ぶこともあるし、うまくいかなくても自分の糧になるのかなと。

数えきれないくらい勉強会やセミナーに参加しましたが、今でも参加するたびに発見があります。例えば地域医療を学んでいると、医学だけでなく地域社会についても知る必要があることがわかってくる。だから次は商店街の読書会に参加してみる。そうやって、少しずつ自分の箱を広げてきたように思います。

小:興味を持ったものや必要と感じるものを、どんどん足して積み上げてきた結果が、今の香田さんなんですね。そんな香田さんから、後輩たちに伝えたいメッセージはありますか?

香:興味があることには積極的に取り組んでほしいと思います。たとえ興味を持っていても、準備をしていなかったら、チャンスがきたときに飛び乗れない。いつ来るかわからない波だから、自分からどんどん飛び乗っていく姿勢が大事だと思います。

小:来春、医師になってからの目標はありますか?

香:僕は一歩進むと見える景色も変わると思っているので、その時々に見えるものを目指していければ良いと思っています。だから、何年か後の目標を立ててそこに向かっていくということはないですね。現在持っているイメージとしては、臨床をしながら、医療者の視点で気づいた課題を社会に投げかけられるような場を持てれば面白いなと思っています。課題を共有して、行政や企業とコラボレーションすれば、新しい解決策ができる。そうやって、社会を良くすることが出来る医療者になれたらいいなと、今は思っています。

interviewee 香田 将英(熊本大学医学部6年)
熊本大学医学部学生会 元・学生会長、日本プライマリ・ケア連合学会 学生・研修医部会 第24回夏期セミナー実行委員長など、学内・学外を問わず様々な活動に関わる。

interviewer 小池 研太朗(九州大学医学部4年)
たくさんの質問のどれにも淀みなく答えてくださった香田さん。私が新鮮に感じたのは、「新しく見えてきたものに合わせて波に乗るように進む」という生き方。そうやって周囲にアンテナを張り、柔軟に吸収していく姿勢があるからこそ、社会のニーズをつかみそれに応える“公共性”を、香田さんの活動からは感じるのだと思います。(小池)
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