医師のみなさまへ 医師や医学生のみなさまに役立つ情報を提供いたします。

新規ウィンドウでリンクします。

日本医師会のみなさまへ

各論的事項 №11
「児童虐待と医師の対応」

丸田 桂子(川崎市医師会前監事)

印刷用PDFはこちらPDF

 

 最近は児童虐待のニュースを聞かない日の方が少ないぐらいであるが、日本で騒がれるようになったのはつい最近だ。そもそもは1962年にアメリカのケンプ医師がBattered Child Syndromeとして発表したのが始まりとされ、わが国でも少子高齢化が進む現代において、時には死に到る児童虐待に目が向けられるのは当然なことと思われる。

 日本では2000年、児童虐待の防止等に関する法律(以下、児童虐待防止法)が成立した。児童虐待防止法の第二条では、「児童虐待」とは、保護者がその監護する児童に対して行う次の行為であると定義している。

一、(身体的虐待)

 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二、(性的虐待)

 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三、(ネグレクト)

 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四、(心理的虐待)

 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

 ちなみに「保護者」とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者。また「児童」とは、十八歳に満たない者のことであるとも定義している。心理的虐待の項ではDV(ドメスティック・バイオレンス)を児童に見せることも虐待にあたるなど具体例を列記しつつ、「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない」(第三条)と禁止している。にもかかわらず、現実に虐待は日常的に起こっている。

 しかも、これらの虐待は一つだけということはなく、いろいろと絡み合い複雑な様相を呈していることが多い。

 児童虐待は年間およそ4万5千件位あるとされているが、その殆どが形は変われど、この4つに分けられた範疇に入る。

 各地で虐待防止のネットワークが出来、地域が取り組みを開始しても、条例が整備されても中々改善されない。この状態は、ついに高齢者にも及び始めているようだ。

 

 この児童虐待は最近では益々巧妙になり、判り難くなって居り、通報し難いことも多いようである。

 通知(報)した内容が事実でなく、疑いであったとしても取り敢えず通報して欲しいと言われている。

 少しでも事件を防ぐ為に、通報先は児童相談所を始め、区役所、警察、民生委員など、何処でもよい。ただし、医師が直接保護者に注意するのは逆効果をきたすこともある。益々虐待がひどくなり、治療も受けず、放置されることも多いからだ。