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研修・ワークショップのお知らせ

研修要綱 概要版

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目的

日本医師会員の生涯教育としてACLS教育を位置づけ、医師による効果的な救命処置・治療の実施を推進し、救急患者の救命率及び社会復帰率の向上に資すること。

名称・定義

「日本医師会ACLS(二次救命処置)研修」(以下、「本研修」)と称し、地域の医師会等が実施する二次救命処置(Advanced Cardiac Life Support。以下、「ACLS」)に関する教育を内容とする研修会であって、日本医師会長が指定するものを修了した医師について、修了証を交付する。

基本理念
  • 1. 

    ACLS研修を、日本医師会の生涯教育に位置づけること

  • 2. 

    医師による救命処置・治療実施の意義を訴え、それを推進するものであること

  • 3. 

    わが国のACLS教育の整合を図るものであること

  • 4. 

    主たる対象者を、常時救急医療に従事しない全ての医師とすること

  • 5. 

    5. ACLS研修会を修了した者が、継続的な研鑽に励むことを推進するものであること

責務
1. 日本医師会
都道府県医師会
我が国における救急患者の救命率及び社会復帰率の向上に努めること生涯教育等により、ACLSの普及啓発を図ることに努めること
2. ACLS研修会実施主体 研修会の適正な実施、運営に努めること
3. 修了証の交付を受けた者 修得技能の維持や新たな知見、技能の修得のため、継続的な研鑽に努めること
運営

日本医師会が運営する。また、本研修の実務を行う機関として、日本医師会役員で構成される運営委員会を設置する。

学習目標
コース目標 系統的なACLSアプローチに基づいた、急変患者への適切な対処やチーム蘇生の方法を習得する
学習目標 突然の心停止に対して最初の10分間の適切な蘇生法を修得する
到達目標
  • ACLSアルゴリズムにおけるPrimary ABCD survey、Secondary ABCD surveyについて説明できる
  • 蘇生を始める必要性を判断でき、行動に移すことができる
  • BLS(一次救命処置)に習熟する
  • AED(Automated External Defibrillator。自動体外式除細動器。以下、「AED」)を安全に操作できる
  • 心停止の4つの心電図波形を診断できる
  • 除細動の適応を判断できる
  • 除細動を安全かつ確実に行うことができる
  • 状況と自分の技能に応じた気道管理法を選択し実施できる
  • 気道が確実に確保できているかどうかを判断できる
  • 状況に応じて適切な薬剤を適切な方法で投与できる
  • 治療可能な心停止の原因を知り、原因検索を行動にできる
  • 経皮ペーシングの適応を述べることができる
研修会の指定

都道府県医師会が承認したACLS研修会について、次の基準に照らして審査し、その内容等を勘案して研修会の指定を行う。

  • 1. 

    学習目標が、上記の表に掲げられている事項と合致すること

  • 2. 

    教育内容が、救急医療設備の限られた医療機関等での心停止例を考慮していること

  • 3. 

    主な対象者が、常時、救急医療に従事しない医師であること

  • 4. 

    教育内容が、標準カリキュラムと同等又はそれ以上であると認められること

  • 5. 

    講師やインストラクター等が、救急蘇生法に精通している者であること

  • 6. 

    実習が、受講者を1グループ最高6人に分けて行うものであること

  • 7. 

    実習の内容が、気管挿管及び除細動の習熟を含むものであること

  • 8. 

    気管挿管器具、AEDや訓練用人形等、所定の器具等を用いた実習であること

  • 9. 

    テキストが、日本救急医療財団監修、同財団心肺蘇生法委員会編著「ACLSトレーニングマニュアル」の内容を全て含むものであること

修了証交付の申請

都道府県医師会長が、日医会長に対して本研修修了証の交付の申請を行う。

修了証交付の要件の確認

日本医師会は、修了証の交付にあたり、指定研修会を修了した者について、次の要件を満たしているかを確認する。

  • 1. 

    医師であること

  • 2. 

    修了した研修会が、本研修の指定を受けていること

  • 3. 

    その指定研修会を修了していること

修了証の交付

日本医師会長は、修了者が上記の要件を満たしていることを確認したとき、都道府県医師会長を経由して、修了証を交付する。 修了証を交付した者が、再び指定研修会を修了した場合には、証票を交付する。
脳卒中や外傷への初期対等等、本研修の学習目標等を超えるもの(オプション研修)を修了した場合には、証票を交付する。

修了者の登録

日医に「日本医師会ACLS(二次救命処置)研修修了者名簿」を備え置き、修了証交付時に修了者の氏名及び住所や指定研修会の名称等を登録する。

修了証の交付の取り消し等

修了証を交付した者が、要件を満たしていないとき、または医師の倫理に反する行為をしたとき等に該当すると認める場合には、日医会長は、修了証の交付を取り消し、その返還請求等ができる。

手数料その他の費用

日本医師会は、研修会の指定、修了証の交付や修了者名簿への登録にあたり、研修会実施主体や申請者等から、一切の手数料その他の費用等を徴収しない。

本要綱等の制定及び改廃

本要綱等の制定・重大な改廃の際は、日医救急災害医療対策委員会の意見を聴く。

施行期日

平成16年3月1日

経過措置

本要綱の施行日において、研修会実施主体が指定研修会を修了したとして認めている者は、その修了年度に関わらず、本研修修了証の交付の対象者とみなす。

本研修及び我が国におけるACLS教育の将来のあり方

日医は、次の事項を中心に検討し、その実施に努める。

  • 1. 

    わが国のACLS教育に関するテキストの整合

  • 2. 

    わが国のACLS教育の講師やインストラクター等の養成カリキュラムの統一

  • 3. 

    わが国のACLS及びACLS教育に要する機器等の導入の推進方策

  • 4. 

    わが国の救急医療に従事する医師に対するACLS教育の普及

  • 5. 

    本研修の効果に対する検証

標準カリキュラム
教 科 内 容 概ねの時間
当日前テキスト、「ACLSトレーニングマニュアル」の熟読
  • 1. 

    医師による救命処置・治療実施の意義

  • 2-1. 

    BLS(一次救命処置)

  • 2-2. 

    ACLS(二次救命処置)

  • 3. 

    用語の説明

  • 4. 

    倫理的、法的な問題(特に医療機関外での処置時)

  • 5. 

    我が国の救急医療システム

I. オリエンテーション ACLSコースの概要説明、注意事項説明等 20分
II. BLS(一次救命処置)Primary ABCD
  • BLSの手技
  • AEDの使用に習熟、モニター診断と除細動を併せて実施
1時間
III. ACLS(二次救命処置)Secondary ABCD
  • 1. 

    気道確保・換気:特に、救急救命士が実施できる(予定)気管挿管等に習熟

  • 2. 

    救急医薬品の使用(輸液~静脈内投与、気管内投与、骨髄内投与)

  • 3. 

    心室細動(VF)/無脈性心室頻拍(Pulseless VT)に対する救命処置

  • 4. 

    無脈性電気活動(PEA)/心静止(Asystole)に対する救命処置

約4時間(各50分)
IV. 体験学的シミュレーション(メガコード)
  • ケーススタディによる実習
  • 救急医療設備が限られているケース(診療所、航空機内など)
  • 患者の発生からBLS、ACLSを一貫して行うケース
  • 除細動対応の訓練用人形、心電図モニター等を使用し、患者発生~通報~Primary ABC(D)~(搬送)~除細動~Secondary ABCD、薬剤投与等を実施
  • 通報、意識の確認、周囲への協力要請、役割分担、群衆コントロール、救急車への同乗の判断等を含む
1時間
V. 反省会 質疑応答など 30分
VI. 修了式   10分

(※ 時間には、準備・休憩時間を含む)

研修のイメージ

研修の流れ

お問い合わせ

日本医師会地域医療第1課: