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ケア付き住宅、宅老所等と称しながらも、アパートの一室などに多数の高齢者を収容したり、極めて狭い個室に収容した上で、指定訪問介護事業所等からホームヘルパーを派遣して高い介護報酬を得ている事例が新聞等で多数報道されている。

これらの状況を改善するべく、今回、日本医師会が強い働きかけをして厚生労働省が事務連絡を発出し、関係者に注意を喚起した。


<※以下は、本件について厚生労働省より各都道府県医師会に送付された文書(抜粋)です>

今回の内容

居宅サービスと実質的な「施設」との関係について

vol.123

平成14年3月19日

厚生労働省老健局介護保険課


事務連絡
平成14年3月19日

各都道府県介護保険担当課 御中

厚生労働省老建局介護保険課
振興課

居宅サービスと実質的な「施設」との関係について

 高齢者住宅等と称しながらも、雑居部屋や極めて狭隘な個室に要介護者を収容した上で、訪問介護等のサービスを提供しようとする事例について、幾つかの地方公共団体より照会がありましたので、考え方をまとめました。

 ご参考までに送付いたしますので、市町村、事業者等への周知を図るとともに、今後の事業者指導に際しても適切に対処いただくようお願いいたします。


Q&A

(問)
ケア付き住宅、宅老所等と称しながらも、一室に多数の高齢者を収容し、或いは極めて狭隘な個室に高齢者を収容した上で、同一施設内や近隣に設置した指定訪問介護事業所等から居宅サービスを提供している事例があるが、このようなサービスの形態も介護保険の対象として認められるものなのか。

(答)
 介護保険法においては、「訪問介護」を始めとする居宅サービスは、「居宅」と「軽費老人ホーム、有料老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設における居室」において行われることとされ、これらにおいて指定居宅サービスを受けた費用について保険給付が行われることとなる。

※ 「厚生労働省令で定める施設」は、軽費老人ホーム及び有料老人ホームとする。(介護保険法施行規則第4条)
 
 ここで省令で定める施設を居宅に含めている趣旨は、いわゆる施設に相当する場所に所在する要介護者等についても、居宅に準ずるものとして一定の水準にある施設に居住する場合には、通常の居宅と同様に保険給付の対象とすることを目的とするものである。
 
 即ち、「居宅」の範囲については、特段の数値基準等による定義を置いていないものの、法文上、当然に社会通念上の居宅を指すものであり、実質的に「施設」に該当するものについては、居宅に含まれる施設として省令で定められた軽費老人ホームと有料老人ホームを除き、「居宅」に含まれないこととなる。
(下記資料参考)
 
 従って、いわゆるケア付き住宅等と設置者が称するものであっても、
 ・どのような生活空間か
 ・どのような者を対象としているか
 ・どのようにサービスが提供されているか
などといった観点も踏まえつつ総合的に判断して、「施設」としての実態を有していると認められる場合には、上述の省令で規定する施設に含まれないものである以上、介護保険でいう居宅サービスには当たらず、居宅介護サービス費の支払対象外となる。