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冒頭でも触れたように、2014年の夏、海外ではなく日本国内でデング熱に感染した患者が確認され、大きな話題となりました。特に東京都内では、代々木公園周辺で128名(2014年10月末現在)の感染者を出しており、公園への立ち入り制限や蚊の調査・駆除が行われたほか、各地の公園での注意喚起の看板設置などの対策が行われました。これからもこうした日本国内での感染は続くのでしょうか?

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デング熱の主たる媒介蚊であるネッタイシマカの分布の北限は台湾で、日本では棲息(せいそく)できません。ただし、日本全域(北海道と青森県を除く)に分布するヒトスジシマカも、デングウイルスを媒介できます。つまり、流行地でデングウイルスに感染した患者が日本に入国し、症状があるうちにヒトスジシマカに吸血されて、その蚊が周囲に感染を広げる可能性があります。2014年の国内感染は、こうした仕組みで広まったものと思われます。海外から日本に持ち帰るデング熱の「輸入症例」はこの数年、毎年200例以上が報告されていますので、これからも輸入症例による国内での感染が起こる可能性はあるでしょう。


デング熱が国内に定着するのではないかと危惧する方もいますが、厚生労働省の見解では、ネッタイシマカはもとより、ヒトスジシマカも成虫では越冬できないため、感染は限定された場所での一過性のものとして自然に終息するとしています。しかし、卵の状態で越冬するヒトスジシマカの場合、研究例としては卵を介してウイルスが伝達されたことも報告されていて、ウイルスが越冬する可能性も示唆されています。越冬した卵が孵化する時期に、再び同じ型のウイルスで国内感染が起こったとすれば、ウイルスが越冬したことを意味しますが、これまでのところは越冬卵を介しての感染報告はありません。