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<佳作>
「医療機関は患者参加のホームページを」
花井 美紀(50) 愛知県名古屋市・会社役員

 一般家庭のパソコン普及率が、今や70 %になろうとし、高齢者のためのパソコン教室が盛況を極める時代。病院選びも「まずホームページ」という人が増えてきたようです。高齢の母を抱え、わが身もあちこち故障がちな私もそのひとりです。

 私の住む名古屋市では、病院のホームページの普及度はなかなかのもの。ざっと80 %台といったところでしょうか。それに比べると、診療所はかなり低いのが現状のようです。「今でも忙しい。私のところは口コミで十分」と言われればそれまでですが、都市の住民は流動しており、自分にあった良い医療機関選びは、今も昔も庶民の課題であり、夢なのです。

 初めて訪れる病医院の敷居というのは高いもの。それがちょっとまたぎやすくなるような情報がホームページにあれば、患者はホッとするものです。

 東京から名古屋へ引っ越して来た私の友人は、ホームページで医師を探し、「これがホントのホームドクター」とうれしそうです。彼は、この医師の次のようなメッセージにまず共感を持ちました。「良い医療は医師だけが努力してできるものではありません。患者さんと私たちが信頼しあい、協力しあって創つくられるものです。そのために、お気づきの点やご要望は遠慮なくお聞かせ下さい」。彼は「なるほど」と思い、同時に肩の力も抜けたと言います。

 もうひとつあります。その医師の自己紹介のコーナーに「趣味・渓流釣り」とあり、最近の釣果が発表してあったとか。同じ趣味を持つ彼は、わくわくしてそのクリニックの門をくぐったということで、何とも幸せな患者もいたものです。

 医療機関のホームページも、こうした「いい出会い」ばかりならいいのですが、簡単な施設紹介のみにとどまっているところも多く、せめてその医療機関の特徴や医療実績くらいはアピールしてほしいものです。また、医療費の改定などで医療機関の経済的な余裕がなくなり、人員条件も厳しいせいでしょうか、立ち上げて何年もそのままというフリーズ状態のところも少なくないようです。

 一方で、トップページが動画とフラッシュで華々しく演出され、各コンテンツにも動画のキャラクターが待ち受け、どこへ行ってもその子が愛きょうたっぷりに出迎えるという過剰サービスのお宅もあります。

 これは好みの問題ですが、そうした楽しいホームページが良いと言う人もいれば、医療機関のホームページを開く人は明確な目的を持っているのだから、目指す情報に早くたどり着けて、しかもその情報がわかりやすいことが「患者の立場に立ったサービスだ」という人もいます。

 それぞれの病院がどのようなサービスを持っているかによって、訴求の仕方も違ってくるでしょうが、利用する側から言えば「わかりやすさ」は必須条件です。明らかに患者さんを対象としたページに、医療従事者でないと理解できないような専門用語がいくつも使われているのを見ると、ここは実際の医療サービスも患者にやさしくないだろうと思ってしまうのは、私だけでしょうか。

 今後、世を挙げての電子化の流れの中で、電子カルテ化が進み、ホームページでの診療予約なども、ごく普通のことになっていく気がします。もしかしたらすでにあるのかも知れませんが、患者さんの要望や提案などを受け付けるページがあれば、医療サービスの充実に一役買うのではないでしょうか。

 患者の声をすくい上げるための「ご意見箱」がロビーなどに置かれている病医院は珍しくありません。けれども、よほど不満でもない限り、ロビーで「ご意見」を書く気にはなれないものです。

 けれども、もしホームページで患者側からの声を受け付け、医療機関側が何らかの形でそれに応えるという双方向の場があったら、これからの医療の大きな命題である「患者本位の医療」「患者満足の追求」のために有益な情報が寄せられることでしょう。そうした情報が、二十一世紀の医療のグランドデザインのベースになり、真の意味での「患者本位」の医療を創造するのではないでしょうか。

 先述の医師の言葉にあるように、良い医療は医療機関と患者との相互の協力で創られていくものだと思います。私たち患者も今までのような「おまかせ医療」から脱皮し、自分の病気や治療について真摯しんしに学習する必要があります。医療を提供してくれる人たちを「病気を治すための大切な協力者」ととらえ、私たちもまた、その人たちに誠実に対応する義務があることは言うまでもありません。

 医療新時代と言われるいま、医療機関と患者にも新しい形のコミュニケーションが求められています。患者参加の双方向性を持ったホームページは、その「新しい形」の扉を大きく開くのではないでしょうか。


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