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<優秀賞>
「ぼくがお医者さんになったら」
清河 恒葵(10) 神奈川県横浜市・小学4年生

 ぼくは幼いころ、お父さんと遊んだ記憶がない。晩ごはんを、一緒に食べた記憶もない。

 ぼくのお父さんは、女の人の病気を治したり、新しい命の誕生を助ける、産婦人科の医者だ。だから友達からは、「いいな」とか、「お金持ちだ」とか言われる。うちは、お金持ちではない。僕の欲しいおもちゃとか、マンガは、なかなか買ってもらえない。友達の方がたくさん持っている。

 ごはんを残すと、世界には食べたくても食べられない子供がたくさんいると、すごくお母さんからおこられる。物を大事に最後まで使いなさいとか、まだ早すぎるとか、人にうらやましがられるいいことはない気がする。

 でも、ピアノや英語、勉強のものは、hあなたの身になるeと言ってお金を出してくれる。その少しでもマンガにまわしてもらえたらなんて思ったりする。

 お母さんは、毎日、すごくお父さんの体も心配している。医者になってから体重は十キロも減ったそうだ。お昼ご飯も食べられないことが多いらしい。やっと口に入れられるのは、売店の残り物のおにぎりや、パンだけだそうだ。

 日曜日も休みがない。夜遅く帰ってきたと思ったら、夜明け前に呼ばれてとんでいく。スーパーマンのようだ。

 お母さんが感心するのは、朝起こしてもなかなか起きないのに、夜中のワンコールで飛び起きるところだ。すごいと、よく言っている。

 夏休みだって、海外とかに行きたくても、呼ばれたらすぐかけつけられるように箱根どまりだ。ここ数年、旅行も行っていない、こんな生活がいいのかな。

 お母さんも、お父さんが医者ということを、言わない方が多いらしい。やな思いをすることが多いからって言っている。考え方が貧弱だと悲しんでいる。皆に分かってほしい。

 医者の多くは、命をけずって毎日患者さんのために生きている。お父さんは、毎日医学の本を読んで、死ぬまで勉強は続くと言っている。

 亡くなった人の家族に、先生に出会えてよかったと感謝しているという手紙をくれる人、果物を送ってくれる患者さんがたくさんいる。お母さんに聞いてもわからない難しい算数の問題でも、お父さんはスイスイ解いて僕に教えてくれる。

 毎日、家族のためではなく、患者さんの命のために働くお父さんをずっと見てきて、医者になるということは、かんたんに考えてはいけないと思ってきた。でも、僕は、同じ医者から「お父さんはすごい人なんだよ」って言われても、いばらず、いつも向上心を持って、患者さんを治す技術をみがいているお父さんを、これぞ名医だと尊敬している。そして、将来、僕のお嫁さんにもお母さんみたいに苦労かけてしまうかもしれないけど、絶対にお父さんのような本物の医者になりたい。

 お父さんみたいに、誰にも治せない病気を見ぬき、確実に治していく。無駄な手術をせず、患者さんの満足する治りょうをしたい。最後は、苦しむこともあるかもしれない。でも、その人にとって幸せな死がむかえられるような医療が、大事だと思っている。患者さんの大切な命を、家族の元に戻してあげられる医者になりたい。

 やっぱり、僕の目標は、お父さんだ。


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