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<優秀賞>
「おばあちゃんとさくら」
松坂 桃香(8歳) 栃木県足利市・小学三年生

 おばあちゃんのぐ合が悪くなったのは、さくらの花を家族で見に行った帰りのことでした。おばあちゃんは、「かぜをひいたみたい。ねていればよくなるよ」と言っていました。けれども、しばらくしてもよくなりません。そして、「すぐ帰るからね」と言って病いんに入いんしてしまいました。

 春がすぎ、夏になってもおばあちゃんは、なかなか家に帰ってくることができません。お母さんから、おばあちゃんはむずかしい病気なので、大学病いんに転いんすることになったと聞かされました。家から遠くなってしまったけど、庭におばあちゃんのすきなさくらの木がたくさんあると聞いたので、おばあちゃんよろこぶといいなと思っていました。

 やがて冬になりました。そのころ、わたしがお見まいに行くといつもおばあちゃんは、「さくらの花がさくころまでには家に帰りたい」と言っていました。

 春になり、さくらの花がさきました。でもおばあちゃんはたいいんできませんでした。この時おばあちゃんは、歩くことも、車いすにのることもできなくなっていました。おばあちゃんの病室のまどからは空しか見えません。わたしは、おばあちゃんにさくらの花を見せてあげたいなと思っていました。でもおばあちゃんの体には、さんそマスクや点てきのくだがたくさんついていたので、病いんの庭で拾ったさくらの花を持っていってあげることしかできませんでした。

 おばあちゃんは、拾った花を見て、「きれい」とよろこんでくれました。でもわたしは、もっと大きなピンクのかたまりを見せてあげたいと思っていました。

 ある日、その話を聞いたかんごしさんたちが何人か病室にやってきました。そして、「これから、さくらの花を見に行こう」と言いました。おばあちゃんのベッドには、タイヤがついているので、そのベッドごとさくらの花の見える所までつれていってくれたのです。おばあちゃんは、「ありがとう、ありがとう」といって、なみだをながしながらよろこんでいました。わたしもおばあちゃんが小さな花でなく、あの時家族で見に行ったようなさくらの花のかたまりを見ることができて、とてもうれしかったです。

 しばらくして、おばあちゃんはなくなってしまいました。家に帰って、みんなでさくらを見に行くことはできませんでしたが、病いんの庭にさいていたまん開のさくらを見ていた時のおばあちゃんのうれしそうな顔を、わたしは一生わすれません。

 わたしの今のゆめは、かんごしさんになることです。おばあちゃんをさくらの花の見える所につれていってくれたような、やさしいかんごしさんになりたいです。そして、おばあちゃんのように病気で苦しんでいる人が、少しの間でも病気をわすれて、え顔でいられるようにしてあげたいです。


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